【115】
幸子に浴びせる視線は、淫欲を刺激する美貌から豊乳、肉感的な下半身へと続いている。
実は、野田が幸子に卑猥な視線を送っている事に気付いていたのは数時間前からだった。
強烈な杉浦の存在で目立たなかったが、野田も牧元家を訪れた時から幸子を眺める表情は淫獣そのものだったのだ。
他の男達も同様の卑猥な視線を向けてはいたが、やはり淫獣の醜悪な雰囲気とまでは言えない。
幸子の反応を見ても、野田に対して距離を置いているのが確認出来た。
杉浦や伊藤に似た危険な香りを、何となく感じ取っているのだろう。
それに、以前から野田が幸子に良からぬ感情を抱いていた事は僕も知っている。
当然、野田が幸子を犯す妄想で何度も扱いたものだ。
とはいえ、野田と杉浦達の境遇には決定的な違いがあった。
長年連れ添う妻と、家庭を築いている事だ。
特に不仲だという話は無く、周囲の印象もおしどり夫婦で通っていた。
また、近辺には住んでいないが子供だっている。
どこから見ても、至って普通の夫だ。
更に、会社を経営した後に町長にまでなったのだから人望も厚い。
つまり杉浦、伊藤とは似て非なる存在なのだ。
そんな人物が淫獣の雰囲気を醸し出し、幸子を狙っているなんて誰も信じないだろう。
だが、それに気付く者が僕以外にも1人だけ居るのだ・・・。
すると、幸子にとって最も嫌悪する淫獣、杉浦がようやくトイレから戻ってきた。
「申し訳ありません。
お待たせしました。」
幸子は、杉浦が戻ってくると拒絶するかの様に台所へ向かった。
「杉浦君、腹痛はもう大丈夫かい?」
由英が、気に掛けている。
「はい、お陰様で治りました。
でも、少しだけ休ませてもらいます。
いいですよね、町長?」
「・・・えっ・・・あぁ、もちろん構わないよ。
もう少し、長居させてもらおう。」
野田は、台所へ向かった幸子を眺めていた。
まだ幸子を視姦していたい野田にとっては、好都合だろう。
「それじゃあ、お酒を注ぎますね。
どうぞ。」
「おっ、悪いね杉浦君。」
杉浦は、再び由英に酒を注ぎ始めた。
部下に酒を注がれ、由英は嬉しそうだ。
しかし、これが只の敬意を示す行動ではないと僕は確信した。
約10分後、事態の変動は大きく表れる。
何と、由英が寝てしまったのだ。
テーブルにもたれ掛かり、完全に熟睡しているではないか。
酔い潰れた可能性もあるが、考えられるのは1つだけだ・・・。
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