【104】
傍から見れば、幸子の異変に気付く者は居ないだろう。
夫の由英でさえ、見抜く事は難しいかもしれない。
でも、僕には分かった。
幸子の表情に、隠しきれない疲労感があったのだ。
それは、日常生活で蓄積されたものとは違う。
陰鬱な表情、昨年伊藤に犯され続けていた時と同じだった。
恐らく、その変化は幸子、杉浦、伊藤の当人達を除けば気付くのは僕だけだろう。
やはり、幸子は淫獣達に犯され続けている。
卒業式の日から約3ヶ月、幸子は再び地獄の日々を送っているのだ。
自分が下着を盗んだ事から始まった幸子にとっての地獄、その辛い現実をまた突きつけられた。
改めて罪悪感に苛まれたのは、言うまでもない。
だが結局、僕は同時に不謹慎な感情にも襲われていた。
久しぶりに会っても、幸子は相変わらず淫欲を駆り立てる女だという事だ。
疲労感があっても強気な表情は健在で、類い稀な美貌をより引き立たせていた。
顔を見ているだけでも、股間が疼いてしまう。
また、緩やかなウェーブが掛かり、肩まで伸びたボリューム感のある茶褐色の髪型も相変わらず魅力たっぷりだった。
更に、何といっても無視する事が出来ないのは極上の肉感的な身体だ。
今日の服装は、上半身が黒いエプロンの中に白いTシャツ、下半身が濃色のジーンズ。
エプロンで身体のラインがはっきりとは確認出来ないが、扇情的な肉付きなのは明白だ。
豊乳の膨らみ、下半身のボリュームは隠し切れない。
疲弊していても極上の肉付きを保っている、正に見事としか言いようがなかった。
やはり目の前で幸子を見てしまえば、罪悪感など吹き飛んでしまう。
僕は、肉棒の膨らみを抑えるのに必死だった。
すると、僕の本心など知る由もない幸子は再び優しく話し掛けてきた。
「こんな所で立ち話してても、仕方無いわね。
さぁ、上がって。」
「うっ、うん。」
僕は幸子に招かれ、後ろを付いていく。
幸子は、玄関から居間へ進んだ。
当然だが、今日は居間に備え付けられた物干し竿に洗濯物は干していない。
「あなた、洋太が来たわ。」
「おっ、洋太か!久しぶりだな!」
その声がする方向は、台所の反対からだ。
普段は襖が閉められているので分からないが、そこは畳が敷かれた客間だった。
間取りでいえば、台所、居間、客間の順で横並びの配置になっている。
そして、客間で僕に話し掛けてきた人物は幸子の夫、由英だった。
更に、客間に居たのは由英だけではない。
部屋の中心に数台のテーブルが横並びされ、それを囲む様に10人程の中年男達が座っていたのだ。
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