【102】
6月中旬、夏に向けて気温は既に30度越えを観測している。
夜でも、Tシャツ姿のまま過ごしても平気だった。
恐らく、今年の夏は一段と暑くなるに違いない。
それでも子供達は元気に外で遊び、老人達ですら散歩や野良仕事をこなしていた。
田舎でよく目にするこんな風景は、毎年変わる事は無いのだろう。
だが、こんな代わり映えのしない田舎の日常でも生活が一変した者達も居た・・・。
この日は土曜日、大抵の人であれば明日の日曜日は休みだ。
僕が働いている会社も、同じく休日である。
2ヶ月程前までなら、また晶と夜通し長電話をしていただろう。
しかし、現在は全く連絡をとっていなかった。
4月中は晶から電話があったが、5月にもなると徐々に減っていったのだ。
慣れない1人暮らしと仕事で、なかなか余裕が無いのも原因の1つだろう。
いや、実はそれ以上に僕が晶を避けていたからに違いない。
晶と、楽しく会話など出来るはずが無かった。
理由は、もちろんあの映像だ。
晶の母親であり僕にとって特別な存在の女、牧元幸子が杉浦と伊藤という淫獣に犯された映像である。
それは、まるで地獄絵図の様に無情な光景だった。
僕と幸子に平穏な日々を取り戻したと思わせておいて、杉浦は裏切ったのだ。
更に伊藤まで再び淫戦に加わらせたのは、幸子にとって耐え難い現実だっただろう。
朦朧とした幸子に群がる2匹の淫らな獣の姿は、醜悪そのものだった。
とはいえ、その映像を尋常ではない興奮状態で観ていた僕に2人をとやかく言う資格は無いのかもしれないが・・・。
杉浦から届いた幸子の下着は、僕の精液で汚れてしまった。
とりあえず綺麗に拭き取り、部屋に保管してある。
そして、たまに眺めては自身の肉棒を勃起させて扱いている始末だ。
幸子が犯された映像も、あれから何度も見返している。
そんなわけで、淫獣と何ら変わらない僕に晶と連絡を取り合う事など出来るはずが無いのだ。
だが、晶だけではなかった。
伊藤はもちろん、杉浦とも4月になってからは一度も会わず、何の音沙汰も無かったのだ。
つまり、ここ2ヶ月ほどの幸子の状況を僕は全く知らない。
近所ではあるが、幸子と出くわす事も無ければ噂で聞く事も無かった。
だからといって、淫獣から解放されてなどいないだろう。
恐らく、毎日の様に犯されているはずだ。
一時は自分も淫獣として幸子を犯してしまおうと思っていたが、やはり冷静になるとそこまでの行動を起こす気にはなれなかった。
無事ではないだろうし確かめる勇気も無いが、僅かでも以前の強気で気丈な幸子でいてほしいと願わずにはいられない。
僕は春からの約2ヶ月、そんな日々を過ごしていた。
しかしこの日(土曜日)の午後、僕は一本のメールから幸子の状況を知る事になる。
※元投稿はこちら >>