【100】
「あんなに幸子をチラチラ見てたんだから、絶対に気があるだろ。
それに、確か幸子が働く事になったのも店長から頼まれたって晶が言ってたしな。
・・・・・しょうがねぇ、俺が願いを叶えてやるか。」
どんな意味なのか、考えるまでもない。
自身の淫欲を満たす為に、幸子を傍若無人に扱うつもりなのだ。
更に、杉浦は新たな悪巧みを思い付いてしまった。
「・・・・・やべぇ、いい事考えちゃった。
ただ幸子を犯らせるんじゃ、割に合わねぇからな。
これからは、あの喫茶店で無銭飲食してやるぜ。」
杉浦の狂った発想は、どんどんエスカレートしている。
だが、誰にも止める事は出来ない。
幸子を利用した不埒な企ては、湯水の様に溢れ出してくるのだった。
「・・・・・ヘヘッ、もしかして俺って天才かもな。
・・・野田を忘れちゃいけねぇだろ。」
その名前で浮かんでくる人物は、1人しかいなかった。
幸子の夫、由英が勤める会社で社長業を全うし、満を持して町長に初当選した野田要治に違いない。
何故なら、その男も幸子に良からぬ感情を抱いている事は僕も薄々気付いていたからだ。
毎年行われている町内運動会の時、幸子に妙に接近しているからおかしいとは思っていた。
幸子の隣には自身の部下でもある由英がいた事もあり、それを口実に幸子に近付いている様に僕には見えた。
また、競技に参加していた幸子に浴びせた視線は間違いなく卑猥だった。
正直、喫茶店の店長が幸子に淫らな想いを抱いている事も知っている。
幸子を狙っている淫獣は、他にも周りに群がっているのだ。
しかし、その中でも野田は大きな権力を持っている。
ましてや、町長にもなれば逆らう者などいないだろう。
杉浦は、そんな男にまで幸子を餌にするつもりらしい。
その狙いは、あまりにも下劣過ぎて杉浦にしか思い付かない企みだった。
「あいつならかなり稼いでるから、幾らでも絞り取れそうだな。
それに、あいつを利用すれば俺が一気に幹部まで上がる事だって夢じゃないぜ。」
確かに社長を退任したとはいえ、野田の影響力は未だに健在だろう。
野田の一言で、杉浦が昇進する事も可能かもしれない。
もちろん、幸子を好き放題できるなら金だって惜しまないはずだ。
更に、杉浦の狙いはこれだけで済まなかった。
「・・・でも、野田は町長になるんだよなぁ。
じゃあ・・・税金とかタダにしてもらえばいいのか、ヘヘッ。
・・・・・いや、そもそも幸子をビジネスとして使えば簡単に儲かる・・・。」
杉浦の下品な笑い声が映像中に響き、僕は思わず鳥肌が立ってしまった。
幸子を抱かせる為に報酬を得る、しかも他の男に犯される幸子を眺めるという自身の淫欲も満たせる、まさに一石二鳥だ。
晶が居なくなった後、何とか幸子を解放させる術は無いかと模索していたが、もう僕の手には負えない。
杉浦がこの映像を僕に送ってきた理由は、幸子は既に自分の思い通りの玩具なのだと主張する為ではないか、そう思えてならなかった。
(・・・・・。)
この先、幸子を救う事が出来ないのなら諦めよう。
現実逃避する為に幸子、杉浦、伊藤とは今後関わらない様にしよう。
僕は、そんな虚しい誓いを立てる事にした。
だが、この後の杉浦の言葉は僕の心情を一変させた。
「・・・おっと、忘れてた。
あいつにも、プレゼントしてやるか。」
杉浦がそう言うと、映像は真下を捉えた。
そこには、幸子達の衣類が床に散らかっている。
そして、杉浦はその中から2枚の衣類を拾い上げた。
僕は、無意識に反応してしまった。
※元投稿はこちら >>