【70】
幸子が服従に応じた事が決まると、あからさまに杉浦の態度は太々しく豹変した。
「よしっ、じゃあ幸子はそこで待ってろ。
ちょっと、撮影の準備をするからさ。」
いきなり我が物にしたと言わんばかりに、幸子を呼び捨てにして口調も荒々しくなったのだ。
当然、幸子もムッとした表情を見せた。
でも、そんな事など気にしない杉浦は音楽室の後方へと移動した。
撮影の準備とは、一体何の事なのか・・・。
杉浦が移動した先には、扉があった。
その先は、楽器などが置いてある小さな部屋だ。
中に入ると、杉浦は奥へ進んでいく。
そして、楽器の後ろからある物を取り出したのだ。
僕には、それが何なのかすぐに分かった。
杉浦はそのまま音楽室へと戻り、幸子がいる場所から数メートルほど離れた位置で立ち止まった。
更にそこでセッティングに取り掛かり、慣れた手つきで組み立てるとビデオカメラを固定したのだ。
そう、杉浦はビデオカメラの三脚を隠していたのだった。
画面は、丁度いい高さと距離感で幸子を捉えている。
「実は、昨日から隠してたんだ。
別に今日の朝でも良かったんだけどさぁ、もう待ちきれなかったよ。」
昨日、杉浦の姿が見当たらなかったのはこの為だったらしい。
「これで、一緒に映れるぞ。
記念すべき映像だから、ちゃんと撮らないとな。」
そう言うと、画面上に醜い淫獣が映り込んできた。
高校生とは思えない不気味な見た目で、淫らな笑みを浮かべた人物、杉浦に間違いなかった。
蔑視する幸子、それを視姦する杉浦。
いつ、杉浦が取り乱して襲い掛かるか分からない状況だ。
だが、杉浦は更に自身の淫欲を幸子へ押し付けた。
「・・・・・いい女だ。
幸子が俺のものになるなんて、本当に夢みたいだよ。
・・・でも、まだ物足りないなぁ。
やっぱ、これを持ってきて正解だったよ。」
杉浦は、ブレザーの中に手を入れた。
画面に映った時から、気になってはいた。
杉浦の腹部が、いつもより膨れていたのだ。
そして、杉浦はその正体を取り出した。
何と、黒いハイヒールではないか。
当然、幸子のものに違いない。
「ここに来るのが遅れたのはさぁ、これを持ってくる為だったんだ。
卒業式が始まる前で、皆まだ体育館に入ってなかったから居なくなるのを待ってたんだよね。」
その言葉で、僕は晶が言っていた事を思い出した。
卒業式の開始前、杉浦を玄関で見たという者がいた事を・・・。
親は、履いてきた靴を子供の下駄箱に入れる決まりになっていた。
つまり杉浦が玄関に居たのは、晶の下駄箱から幸子のハイヒールを奪う為だったという事なのだ。
「幸子がハイヒールを履いてきたのは、見てたからさ。
スリッパなんかより、ハイヒールの方がエロいと思って持ってきたんだ。」
杉浦は、ハイヒールを幸子の近くへ置いた。
ハイヒールを履くのは、言うまでもないという事だ。
しかし、幸子はハイヒールを履こうとはしなかった。
杉浦に服従しなければいけないと分かってはいても、やはり低劣な淫獣の要求は呑みたくないという抵抗心がそうさせるのだろう。
とはいえ、今の幸子は逆らえる立場ではない。
「あれ、どうしたの?
もしかして、俺の言う事が聞けないのかな?
・・・そっか、じゃあ晶に動画を送るとするか!」
「待って!!・・・・・分かったわ。
履けばいいんでしょ。」
「ヘヘッ、幸子が俺に従うなんてたまんねぇなぁ。
・・・でも、これは脅しじゃねぇぞ。
今度、抵抗する様な真似したら・・・分かるよな?」
杉浦の言葉は嘘ではない、それは幸子にも伝わった様だ。
幸子はスリッパを脱ぐと、黒いハイヒールを履いた。
※元投稿はこちら >>