今回のオフィス訪問の目的は、このオフィスの事務監査と新人事務員の事務指導。事務監査の方は、朝イチからの数時間で決まるから、すぐに終わった。後は新人事務員、つまりエリの事務指導。
朝まで一緒だったエリの指導。馴れ馴れしくならないように気を使った。そうは言っても、何か照れくさかった。
お昼前になると、このオフィスの営業社員は皆営業に出かけてしまった。残っているのは俺とエリだけになった。とは言え、落ち着かない心を必死に抑え、事務指導に集中した。
「係長、お昼はどうするんですかぁ?」
ちゃんと使い分けれるんだ・・と思った。
「この辺、弁当屋か簡単に食べれるトコって分かる?」
「もし良かったら、食べますか?」
「えっ?」
エリは弁当を2つの取り出した。誰もいないオフィスで、エリは笑顔を俺に向けながら小声で
「雅樹、今朝食べなかったから、お弁当作ってみたの」
「いいの?」
・・えっ?なんでそこまで・・少し戸惑ったが、食べないワケにもいかなかった。
「美味しいね。ホントに料理上手いんだね」
「嬉しい。機会があったらまた作りますね。」
そんなに機会があっても、マズイ気がした。とはいえ、来月の事務指導の予定も組んであった。
事務量の多くないこのオフィス。2時過ぎには、今日の目的は終わった。
「ちょっとこっちに来てみて。」
つい・・。窓からも入口からも死角になる給湯室にエリを呼んだ。
エリを壁に押し付け、唇を重ねた。首筋にも唇を這わせた。
「雅樹・・誰か来たらどうするの・・」
エリを抱きしめ、もう一度唇を重ね、席に戻った。
「雅樹、携帯番号とメール教えて貰ってもいい?」
「じゃあ、エリのも教えて」
しばらくして、オフィス長が戻って来たので、挨拶をして、帰る事にした。
支社に帰り道、エリの事を考えた。
まだ新婚、妊娠もしている状況で、エリの行動の真意が読めずにいた。少し情緒不安定?欲求不満?。少し危険な感じもしたが、エリの環境を考えれば、長続きはしない、深入りする事はない・・と思っていた。
エリから早速メールがきた。
「ウチまで来てもらって、ありがとうございました。楽しかったです。金曜日楽しみにしてます。」
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