このお話しは、実体験とフィクションを掛け合わせて成り立っています。
実際の名称や地名・設備等に必然や偶然で有っても当てはまる事が多々有りますが、あくまでフィクションと捉えて頂きたたいです。
ーこの項から物語を続けさせて頂きますー
群馬、長野側から何時間、いや何キロ新潟側に走っただろう? 分岐点の側道に入る際トリップメーターは確認はしてたはずだが忘れてしまっている。
大型車通行禁止のこの道は細く幾重にも曲がりくねり山裾を縫う様に続いているが、周りの小高い山々に囲まれ景色は広がりを見せない。
落ち葉の幾重にも降り積もった簡易舗装の道は、まるで新雪がうっすら積もった状態によく似て四駆の車でもハンドリングを誤ればグリップ力を失い奈落の底に・・・・と言うことも有りうるのだ。
慎重に道を進めて行くと幾らか視界が開け道路の幅員の広い場所が有り、やはり軽四駆止まっていた。早朝から初めて見る車はジムニーとも有って懐かしささえ込み上げ、なぜかその後ろに自分の車も駐車し車内をフロントウインド越しに伺っては見たが、人の気配は無い。
早朝コンビニに立ち寄りおにぎり二個とコーラを買った以来車外に出ずに走り続けたことも有り、休憩を兼ね外の澄んだ空気を深呼吸のように何度も吸ってみた。
車内ではタバコを吸わない私はケント3mmを立て続けに2本吸って休息感を感じていた・・・・そんな時、遠くでは有るがブナ林の奥の方から声が聞こえた気がした。いや、気がしたのでは無くしかも確かに女性の声が・・・・
複数らしき女性の声はこちらの方に足が向いると見えて、次第に雑草と触れながらの音を立てて近づいて来る。
車の停めた場所の奥につながるブナ林の細いケモノ道は、太陽の光が入りにくく視界が悪いのだが流石に20~30mくらいの遠目では二人の姿がハッキリ見える。
私が先方を確認すると同時にやはり視界に入ったと見えて声はとまり、立ち止まらないまでも歩みを遅めに近づいて来るのが分かった。
私は5m位まで近づいた間合いで「こんにちわ」と声をかけた。二人の女性も顔を一瞬見合わせ「こんにちわ」と返し、続けざまに片方の年配者そうな65才後半と思われる女性が「部落の方じゃ無いですよね?こんな所で何か用事でも?」と言葉口調は穏やかだが先に質問されてしまった。
またその「部落」と言う言葉が東北地方や北海道では当たり前の様に昔は使われいた言葉らしいが、私の耳には不調和音の響きに聞こえる。
私は雑誌の取材のネタに成りそうと思い会話が続くよう愛想よく弊社の顔写真入り名刺を出しながらー※此処から対話式ー
私:地元じゃありませんが東京の出版社の取材でこの秋○郷の自然・風土・
生活などを取り上げ紹介し地元観光に協力出来るそんな企画で来ています。
古方女:ふう~ん、テレビのロケで来てるんかい
若方女:姉さんテレビじゃ無いでしょう、名刺に出版社と書いて有るから雑誌だよ!本よ本っ ほらっ旅情報誌のじょらんも書いてあるわよ
若そうなと言っても40才後半の女はその姉さん耳が遠いのか大きな声で話し掛けた。
私:ところで、ここの林の中で何か採って居たようですが、そちらのカゴの中には何が入っているのですか?
若方女:あっ、これぇキノコですよ見ますか?
そう言いながら後ろ背に背負った大きな竹カゴをしゃがみ込みながら降ろした。
続く
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