吉岡さんに呼び出された僕は、先に男子トイレに入りました。すぐに足音が聞こえ始め、彼女が僕の前を通り過ぎて、女子トイレへと入って行きます。
僕が男子トイレの裏口辺りでいると、トイレを素通りしてきた彼女が現れるのです。彼女は『こっちっ!』と言って、僕の手を取ります。
そして、彼女に手を引かれ、僕達はトイレの裏側へと回って行くのです。
『ユウっ…。』、切なそうな声をあげ、彼女が胸に飛び込んで来ました。15センチほど小さい彼女の顔は、僕の首元へと埋められます。
『ユウ…、好き…、ユウが好き…、』と言って、その顔を僕の首へとねじ込んでくるのです。僕は彼女の肩に手を置けます。
抱き締める訳ではありません、支えてあげるのです。『私のこと、嫌いになったぁ~…?』と、あの切なそうな声で言われ、ドキッとしてしまいます。
そして、『私より、清水さんの方がいい…?』と聞いて来たのです。『やはりあの時、聞かれていたんだ!
』と確信をするのです。
しかし、彼女は僕の想像の上を行きます。『一昨日、清水さんのところでお泊まりしたのぉ~?昨日もお泊まりだったぁ~?』と言うのです。
寒気が走りました。きっと、監督さんの家に僕の車が停めているところを、彼女は見たのです。『お泊まり?』、彼女はどこまで見ていたのでしょうか?
『あの人、優しくしてくれたぁ~?』
『ユウの身体、いっぱい触ったぁ~?』
『キスもしたぁ~?』
『ずっと抱き合ってたぁ~?』
『一緒に眠ったぁ~?』
と次々と聞いて来ます。しかし、『私、寂しかったよぉ~。ユウがあの人のところでいるのを想像して…。』と悲しい言葉で語りかけてくるのです。
『つらかったよぉ~…。ユウが欲しいよぉ~…。私だって、ユウに抱いて欲しいよぉ~…。』と言われました。
僕は、『姉貴とは?』と思わず聞いてしまいます。どうしても確めたい事実です。
『祐香ちゃん?祐香ちゃんには、慰めてもらっただけ…。私だって、身体を慰めてもらいたい時あるよ…。』と説明をしてくれたのです。
そして、『ユウのものにして…、お願い…、私をユウのものにして欲しい…。』と言って、更に顔を埋めて来ました。
僕が何かを言おうとした時、『あの人になんか、取られたくないよぉ~…。』と、監督さんのことを告げられました。
彼女の手は素早く動き、僕の頭へと掛けられます。そして、僕は唇を奪われてしまうのです。突然のことに、頭は真っ白になります。
しかし、彼女の潤んだような目が僕を見つめ、『あげるから、もらってぇ…。私をもらってください…。』と言われてしまうのです。
僕は、吉岡さんの唇を強く押し返します。もう、獲物を捕らえようとするケモノです。小さな彼女を深く胸に抱き締め、狂ったようにキスをしてしまいます。
『彩香さん…。』と初めて彼女の名前を呼びます。彼女は唇を合わせながら、『彩…、彩でいい…。』と言っていました。
二人の顔が離れました。お互いの口のまわりは、唾液で濡れてしまっています。そして、
『お昼からあいてる?』
『はい…。』
『一緒にいよ?』
『…。』
『イヤ?』
『いいの?』
『ユウと一緒に過ごしたい…。』
『はい。』
『うれしいぃ~。』
沈みがちだった彼女の顔に、やっと笑顔が戻りました。それは、とても愛くるしい、彼女ならではの笑顔です。
彼女は僕の手を取りました。『ユウと手を繋いで歩きたい…。』と、僅か20m程度でも一緒に歩くのです。
彼女の手が離れると、僕たちは偶然を装い、みんなのところへと並んで帰ります。
そこで、彼女からこう告げられるのです。
『もう、清水さんのところには行かないで…。行って欲しくないから…。ユウの身体が我慢できない時は、私に言って…。』
そこまで彼女は、僕を思ってくれていたのです。僕は彼女の気持ちを思い、『はいっ。』と伝えるのでした。
吉岡彩香…。
僕の姉と関係を持った彼女は、姉を自分のモノにするために、彼女なりのテクニックを駆使して落としてしまいました。
そこへ現れたのが、弟の僕でした。『祐香の弟…。』、それだけで彼女の中に『付加価値』がついたのです。
『姉だけでなく、その弟も…。』、彼女の歪んだ性癖が反応をしました。『あなたが好き…。』、心にもないことを口にさせてしまいます。
彼女はしたたかなのです。自分の顔もキャラも全て心得ています。自分がこうやれば、男はこう反応を見せるというのを彼女は分かっているのです。
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