翌朝の4時、目覚ましの音で二人は目を覚ましました。冬のこの時間、外はまだ真っ暗です。私は、異様な興奮から熟睡することができませんでした。私が起き上がろうとした時、佐藤に再び、布団に引きずり込まれました。「何?・・・ううん・・・」佐藤は私の唇を奪いました。やがて舌が絡み合う熱いキスになりました。3分ほど経って、ようやく佐藤が唇を開放してくれた時、「もう、おしまい・・・タクシーに乗り遅れちゃう・・・続きは・・・後で・・・ね」私は佐藤の目を見つめながら言いました。「・・・そうだな・・・」私は、起き上がりました。枕元には、昨夜用意した大きな旅行かばんが二つ、置かれています。『私たち・・・本当にこれから逃げるんだわ・・・』私は、顔を洗い、お化粧を始めました。佐藤もようやく起き、仕度を始めました。気がつけばあっという間に、時計の針は4時30分をまわっていました。5時に近づくにつれ、私は胸の鼓動が高まってきました。『果たして、本当に逃げ切れるのだろうか?』そんな私の不安の気持ちを遮るように佐藤が言いました。「さあ、そろそろ時間だ・・・行くぞ・・・」私も意を決して頷きました。玄関のドアを開けると、一気に外の冷気が部屋の中に入ってきました。空は真っ暗、アパートの階段の下を見ると、街灯に照らされて、一台のタクシーが停車していました。「もう、来ているわ・・・」「ああ・・・そのようだ」私たちはできるだけ音をたてないように注意して、アパートの階段を下りました。そして、ゆっくりとタクシーへと歩いていきました。二人の口からは、ハアハアと白い息だけが出ています。そしてタクシーまで10mほどの距離になった時でした。
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