私は、カーテン越しに窓から外の様子を伺いました。夫は確かに「私を見張っている」と言っていました。おそらく、夫は探偵でも雇って私を監視しているのだと思います。何とか、夫たちに気づかれずに、佐藤と連絡を取る手段はないか・・・私は考えましたが思いつきませんでした。こんなことだったら、早く佐藤に頼んでスマホを購入してもらえば良かった・・・今になって後悔しても後の祭りです。結局、悶々と佐藤の帰りを待つしかありませんでした。この日、私はいつもと異なり、できる限りナチュラルメイクをしてシンプルな部屋着で佐藤を迎えました。いつもの日課である玄関先でのキスも拒みました。佐藤はすぐにいつもと違う様子に気づきました。「どうした?」私は、混乱する気持ちを抑えながら、手短に昼間の出来事を話しました。佐藤は顔色一つ変えずに、私の話を聞いていました。それは、まるで佐藤が全てを予期していたかのようでした。「そうか・・・あいつ、やっぱり・・・この部屋もかぎつけていたのか・・・」「えっ?・・・どういうこと?」夫の話によると、今日の昼間、夫の会社に匿名の手紙が届き、そこには過去に佐藤が犯した犯罪のこと、そして現在も人妻を自分の部屋に連れ込んで一緒に生活していることなどが詳細に書かれていたそうです。佐藤は夕方、社長に呼ばれて、その手紙を見せられ、事実かどうかを問いただされたと言います。佐藤は、もはや隠し通せないと判断して、事実を認めたことで、この先、会社を辞めざるを得なくなりそうでした。そのような卑劣な手段を使って佐藤を追い込んだのは、夫の仕業に間違いありません。昼間の夫の狂気に満ちた言葉が私の脳裏をよぎりました。すると、突然、玄関のチャイムが鳴りました。『夫だわ・・・』私と佐藤は一瞬、息を飲み、顔を見合わせました。どうやら、佐藤も同じ思いのようでした。再び、チャイムが鳴りました。私は、恐る恐る、玄関のドアを開けました。
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