部屋の中は殺風景でしたが、私にはすごく暖かな空間に感じられました。それは単にストーブがついているおかげではなく、そこに人気があることの安心感が、何よりも私をホッとさせ、心温まる気持ちにさせたのだと思います。「まあ・・・そこへ座れよ・・・」佐藤に差し出された座布団の上に腰掛けた瞬間、私は無意識のうちに大粒の涙をこぼしていました。佐藤は何も聞きませんでした。おそらく、そんな私の姿を見て、全てを察したのだと思います。佐藤は無言で近寄ってきました。私は思わず佐藤にすがりつき、その厚い胸の中で大声をあげて泣きました。今まで我慢してきたもの全てが一気にカラダの中から押し出される感じで、もう涙は止まりませんでした。佐藤は、ただ無言で私を抱きしめていてくれました。しばらく、佐藤に抱きしめられていた私が、ふと顔を上げると、そこには今までに見たことのないような優しい目をした佐藤の顔がありました。佐藤はそっと手で私の涙を拭いてくれました。私はゆっくりと瞼を閉じました。次の瞬間、私の唇は佐藤の温かい唇で塞がれました。やがて、二人はまるでお互いの間にあった溝を埋めるかのように、激しいキスをしながら、その存在を確かめ合ったのでした。
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