佐藤に大きなダメージを与えた夫には、もう怖いものなどない様子でした。特に、他に逃げ場所を失った私に対する態度は、以前よりさらに冷酷さを増していったのです。夫は自分を裏切っていた私を、決して許してはいませんでした。「おい・・・佐藤がマンションを引き払ったらしいぞ・・・」ある日の夜、突然、夫が話しかけてきました。「・・・」「おい・・・聞こえたか?」「・・・そうですか・・・」どうやら、夫はその後も佐藤の動向を調査していたようです。抜け目ない夫らしい行動でした。「ああ・・・お前はとっくに知っていたのか・・・」「・・・いいえ・・・初めて聞きました・・・」おそらく、夫のことです、家の中に盗聴マイクでも仕掛けて、私の様子を監視するくらいのことはしているでしょう。「うそつけ・・・あれから、すぐに連絡とりあっていたんだろう?・・・また内緒で会ったか?」「・・・いいえ・・・そんなことしていません・・・」「佐藤に抱かれたくて仕方ないんだろう?」「・・・もう・・・やめて下さい・・・」「我慢するな・・・俺は、いつでもいいぞ・・・いつでも離婚してやる・・・佐藤のところへ行きたかったら、そう言え・・・まあ・・・俺は、もう、お前のことは妻とは思っていないからな・・・正直、もう香奈の母親でもあってもらいたくないんだが・・・」こんな風に、夫は私を蔑み、毎日のように、私の心を突き刺す言葉を、平気で浴びせかけてきました。
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