その後も、私は良心の呵責に苛まれながら、佐藤との関係をズルズルと続けてしまいました。佐藤は少しずつ、その本性を現しては私を弄び、私はそんな彼の行動に翻弄され続けたのです。佐藤の休日は仕事の関係で原則、水曜日。その日が毎週1回、彼に呼び出されて、カラダを思うように弄ばれる日なのです。火曜日は、朝から私は憂鬱な気分に陥ります。佐藤は私を呼び出す前日の夜に必ずメールしてくるのです。「明日の10時、いつもの場所で。」それは私にとって、YESとしか返信できない、まさに佐藤からの命令以外のなにものでもありませんでした。今までに一度だけ、OL時代の友人とすでに会う約束をしていて、佐藤の誘いを断ったことがあります。すると、佐藤からすぐに返ってきたメールには、コメントは無く、ただ一枚の私の淫らな写真が添付されていまあした。それはまさに無言の脅しであり、私は、改めて彼の誘いを断るという選択肢が自分に無いことを思い知らされました。一方、会うと決まった日の朝は、それはそれで、またたいへんなんです。夫と娘を送り出した後、手早く洗濯などの家事を済ませると私は急いで、寝室の化粧台の前に座ります。なぜ、そんなに急ぐのか・・・それは佐藤に命じられた通り、それまで(彼と会う以前)にはしたことのないような濃い目のメイクをしなければならないからです。鏡の中で、徐々に佐藤好みの女に変わっていく私がいます。彼に初めて自宅で犯されてから3ヶ月、こんなにも変わるのか・・・そんな自分の姿を見る度に、私は、自分が情けなくなり、つい夫の顔が頭に浮かんでしまうのです。いっそのこと、全てを夫に話して楽になってしまおう・・・そんな思いに何度も駆り立てられました。しかし、その代償として支払わなければならないものを考えると、結局は、踏み切れなかったのです。佐藤のことをどんなに憎んだとしても、その誘いをきっぱりと拒むことができなければ、それは夫に対する裏切りの行為であることにかわりはありません。『あなた・・・ゴメンなさい・・・』心底、胸が痛みました。どうして、こんなことになってしまったのか、これからどうしたらいいのか、わからないまま、今日も、私は仕上げの口紅を引くのでした。
※元投稿はこちら >>