「では、確かに、お預かりします・・・それでは、今はまだ早いし、あなたも疲れていると思うので、午前中は少しゆっくりしてもらって、午後2時頃、またお迎えにきますから、社長のところへ挨拶に伺いましょう。一応、こぎれいに仕度しておいてください。では、また。」そう言って、常田は帰っていきました。私は身も心も抜け殻のように、午前中は、ぼーっと過ごしました。目を閉じても、寝付くことはできませんでした。部屋の中には、行き場を失った2つの旅行かばんが寂しそうにおかれていました。『佐藤はどうなるんだろう?』私は、たとえどんなことになっても、佐藤の帰りを待とうと心に誓っていました。時計の針が1時を回りました。『そう言えば、常田は2時に迎えに来ると言ってた・・・』私は重い腰をあげて、鏡の前に座りました。鏡に映る自分の顔は、心なしかやつれているように感じました。私は、軽くお化粧を直し、できるだけ清楚な服に着替えて、常田が来るのを待ちました。常田は約束の時間通りに迎えに着ました。私は、この時点で、この後、自分の人生が大きく変わっていくことになるとは、まったく思ってもいませんでした・・・。
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