しばらくすると、部屋にもう一人、招かざる客がやってきました。夫の仁志です。「バカな女だ・・・本当に、お前はどうしようもない、馬鹿で哀れな女だよ・・・言っただろ、オレはお前たちを絶対に許さない、復讐すると・・・それでも、一回だけチャンスをやった・・・しかし、お前たちは、そのチャンスの芽を自分たちで摘んでしまった・・・まあ、それなら仕方ないな・・・自分たちでとった行動だ、責任は自分たちでとれ。」夫はカバンから一枚の紙を取り出しました。それは離婚届でした。「まあ、覚悟はしていただろうが、さすがに俺も我慢の限界だ。お前にとっても、これで晴れて自由の身だ。さあ、これでお互い、すっきりしよう!ああ、一つ伝えておこう・・・お前が姿を消して、香奈は最初は寂しがっていたが、最近は、朱美にだいぶ懐いて、今では朱美が母親代わりになってくれているから、心配するな。おそらく、近い将来、朱美が本当の母親になるだろう・・・。」私は、そんな話を耳にしながら、離婚届けにサインして判を押しました。「よし、これで離婚成立だ。後は慰謝料だな・・・このことは全て常田弁護士に任せてある。だから、常田弁護士と話してくれ。美穂、これで本当のお別れだ・・・いろいろあったが、まがりなりにも6年間連れ添った相手だ・・・情がないと言ったら嘘になる・・・元気でな・・・」夫はそう言うと、私の顔も見ずに出ていきました。これで私は、本当に全てを失い、独りぼっちになってしまったことを実感しました。
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