『ヤイチさん、ごめん~。』と岩下さんは言いました。しかし、それは僕の身体に倒れ掛かったことへの謝罪の言葉ではありません。
後ろから身体を抱えて離さず、その手が胸の辺りで乳房を揉み始めた僕への、『やめて。離して。』という意味でした。
僕は尻餅をついた状態で自分の足を大きく広げて、そこへ彼女の身体を迎え入れます。岩下さんも尻餅こそつきませんか、後ろに引かれて身体を起こせません。
『お願い。こんなことせんとって。』と言いますが、僕には聞き入れられません。それでも、彼女精一杯の言葉なのです。
僕の手は、更に彼女の身体へと侵入を始めます。しかし、強い言葉を吐きなれてない彼女は、『もぉ~。』『ちょっと~。』と言って、身体を振るだけです。
僕の唇が、背を向けた彼女の首筋に触れました。彼女は首を屈め、必死に抵抗を見せるのです。唇は首から、横顔の頬へと移りました。
すると今度は顔を振り始め、『やめて…。こんなのやめて…。』と言います。
本当は暴れて抵抗してもいいくらいなのに、彼女はそれが出来ないのです。
『岩下さん、好きって言ったやろ~。俺、ずっと好きやったんよ~。』と言いながら、隙をみては横顔にキスをしていきます。
完全に言葉を吐かなくなった彼女に、『あのおっさんより好きなんや~。』と言ってみますが、あまり効果はありません。
そこで、僕は岩下さんを掴まえていた手を離しました。彼女の身体は反動で前に傾き、その場にとどまります。
しかし、身体を入れ替えて彼女の顔を掴まえた僕の両手は、グィとその顔を引っ張り上げ、『お願い。やらしてよ~!』と言って、ついにその唇を奪うのです。
重なった唇でしたが、彼女が首を振ったため、すぐに離れます。しかし、手で頭を持ち、再び強くキスをすると、その抵抗が止まりました。
手で僕の身体を何度も叩いてはいますが、その手にはもう力が入ってはいません。更に強く抱き締めて、唇も深く重ねって行くのです。
唇が離れました。岩下さんは斜め下に顔を傾け、キスをしてしまったことを考え、そして苦しかった呼吸を同時に行っているようです。
完全に抱き締められたことで、もう逃げようなどとも思わないようです。
『好きやで。』と僕が言うと、彼女はまたキスが飛んで来ることを確信します。しかし、顔が逃げたのは一瞬のこと。
唇を重ねてあげると、諦めた顔になるのです。基本、無抵抗主義のようでした。
キスも終わり、おとなしくなってしまった彼女を、一度離します。どう考えても、もう逃げようなどとしそうになかったからです。
岩下さんは正座をしたまま、うつ向いて座っています。いろいろと頭を廻っているようです。
テレビでは、男性が隣の部屋に住む熟女に迫っていました。ある意味、僕たちと同じです。しかし、それが邪魔に思え、DVDは停止をするのです。
僕は、押入れの前の邪魔な雑誌や新聞をのけます。押入れのを開き、あの引き出しを開くのです。彼女は一度立ち上がりかけましたが、すぐに諦めました。
引き出しからは、カラフルなハンカチが取り出されました。真ん中が膨らんでいて、なにかを包んでいるのが分かります。
開くと、スイッチと細いケーブル、そしてその先はピンク色をした球体に繋がっています。『これ、やらせて。』、彼女に頼んでみました。
その時の彼女の目は、全てを悟った目をしていました。あのDVD、そしてピンクローター、僕が何もかも分かってやっていることを悟ったようです。
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