それは不意のことでした。
塾を終えて2階から降りてきた先生は、『ごめーん!忙しくて、ごはんのスイッチ入れてなかったのよぉ~。1時間くらい待てるぅ~?』と言って来ます。
ソファーに座っていた僕は、『いいよー。』と声を掛け、仕方なくお風呂の準備をしようと立ち上がります。
しかし、夕食の準備が面倒くさくなった彼女は、『もう、外に食べに行くぅ~?私がお金出すから~。』と外食を勧めて来たのです。
会社から帰れば、彼女のご飯を食べて、お風呂、リビングでの会話、そしてベッドへ、と決まったローテーションだったので、先生との外食は新鮮でした。
すぐにオッケーをし、彼女と久しぶりのデートとなったのです。
手早く着替えとお化粧を済ませた先生を助手席に乗せ、アテもなく車は走り始めました。『どこ行くぅ~?』と言う彼女ですが、僕はその顔を見ています。夜なので車内は暗いですが、街の明かりと対向車のライトが、何度も彼女の顔を照らしているのです。
『久美子ぉ、美人やねぇ~?』と言うと、『なに言ってるのよぉ~。前向いて運転しなよ~。』と逆に怒られてしまいました。
結局、夕食は某有名回転寿司で済まされ、二人で『ああ~、食べたぁ~。』と言って、再び車へ乗り込むのです。
僕は『どうする~?帰る~?』と聞きますが、『行きたいところあるなら行きよぉ~。』と彼女はそう返します。
彼女に言われて僕が向かったのは…、ラフホテルでした。
『こんなところ来て、どうするのよぉ~。』
『ん?セックス。』
『真面目な顔して、なに言ってるのよぉ~。』
『ザ・セックス。久美子とザ・セックス。』
『なによそれぇ~?なにが、ザ・セックスよぉ~。』
『久美子オン・ザ・セックス、久美子イズ・セックス、久美子ラブ・インセックス~、』
『なんなのよぉ~、その変な英語は~?私は変態なのぉ~?!』
と言って、結局先に車を降りたのは先生。早々に諦め、そして訳の分からない英語には付き合わされたくはないようです。
降りた二人は、そのまま2階の部屋へとらせん階段を登り始めました。ハイヒールを履いて来てしまった彼女は、なかなか大変そうです。
階段を登りきると、センサー照明がつき、ようやく二人の顔がハッキリと見えます。『ハァ…、ハァ…、』という息をしている彼女を掴まえ、唇を奪います。
『こらぁ~、早くお部屋に入らんとぉ~。』と言う彼女ですが、頬を寄せ『好き…。』と伝えると、やはりそういう顔になります。
真面目な顔をした彼女に、『久美子オン・ザ・なんとかしたいんでしょ~?なら、お部屋ぁ~。』と言われてしまい、部屋へと足を踏み入れたのです。
部屋に入ると、すぐにセンサー照明がつきました。奥にはベッド、手前にはテーブルとイスが置かれています。
まだ、お風呂に入っていない僕達は、すぐにお風呂のお湯を張りに行きます。そして、お互いを掴まえては唇を重ねるのです。
風呂場で、トイレを済ませた先生を掴まえて、ベッドに向かいながら、そしてベッドでも、先生も気持ちが高揚していて本気のキスをせがんで来るのです。
ベッドで口づけをしながら、彼女も自分に呆れているのか、『私、やっばり変態なのかもねぇ…。』と口にしています。
『久美子オン・ザ・セックス~?』と聞くと、『クミコォ~・オン・ザ・セェ~ックス~。』と英語の先生らしく発音をしていました。
しかし、文法はウソっぱちであります。
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