土曜日のお昼でした。昼食を終えた僕と先生は、少しリビングで休憩をします。そこで先生から、『私、今夜、ちょっとお出掛けするから。』と聞かされます。
『夕食どうする~?』と聞かれ、『外で食べるからいいよ。』と返します。『遅くなるから、実家でいてもいいよ。』と言うので、『うん。』と答えるのです。
2時間後、僕と先生はベッドの中にいました。まだまだムード作りの段階です。そこで僕は先生にある質問をするのです。
『僕、先生のことなんて呼んだらいいと思う?』と聞いたのです。『なにがぁ~?先生じゃないの~?』たあっさり言われてしまい、この会話は終わります。
しばらく他の話をしていた時、なんの前触れもなく『名前とかで呼んでみたいのぉ~?』と言い始めるのです。
もう終わった話ですし、今更タイミングも悪い僕は、『別にいいよ。』と強がるのです。
『久美子よ…。』と先生が呟きます。僕は、『知ってるわぁ~!』と言います。しかし、僕の顔を見た先生が『くぅ~、みぃ~、こぉ~、』と発音するのです。
バカにされてるような気がして、少しプイとします。しかし、また顔を向けさされ、『ちゃんと言おう。くぅ~、みぃ~、こぉ~、ちゃんと呼んでぇ~!』とまるで英語塾です。
『はい、くぅ~』
『くぅ~。』
『はい、みぃ~』
『みぃ~』
『はい、こぉ~』
『しぃ~。』
『しぃ~、じゃないよぉ~。こぉ~』
『こぉ~。』
『全部並べてぇ~、くぅ~みぃ~こぉ~!はい!』
『くぅ~みぃ~ヒャ~!』
『バカにしてるぅ~?』
『うんん。愛してるぅ~!久美子、愛してるぅ~!』
僕は落第決定!のようです。
午後8時過ぎでした。先生は言っていた通りにお出掛けで、僕はと言えば、結局は彼女の家で帰りを待っていました。
そこへ、ラインに写真が送られて来ます。それを見た僕は、『えっ?』と思うのです。その写真には先生と男性が写っていたのです。
その男性は、酒に酔っていて赤い顔をしていますが、間違いなく僕の父でした。先生は、父と会っているのです。
この写真が今撮られたものならば、二人はどこかの高級なレストランで夜景を見ながらの食事を楽しんでいるということです。
父も先生もグラスを持ち、カメラに向かって笑顔を作っていますが、それを見せられる僕の気持ちなど気にならないのでしょうか?
『猫被り』、違います。この女は女狐なのです。
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