時計は深夜2時40分を過ぎていました。
ダブルのベッドからは、そこに敷いてあった掛け布団は無くなっていました。すでに床に落ちて、放置をされているのです。
布団を剥いだのは先生でした。あることのために、彼女が落としたのです。敷布団だけになった大きなベッド。
薄暗い部屋の中、白いシーツだけはよく見えます。そして、照明がベッドの真上にあるため、真下のそこだけが僅かに明るくなっています。
先生はベッドの真ん中に転がり込みました。暗いなか、照明に照らされ、セクシーな衣装を着た先生だけが浮かび上がります。
先生は自信を持ったのです。『63歳の自分の身体でも、この子は充分に興奮をしてくれる。』、それが彼女に分かったからです。
大人の女性が、そこにいました。イヤらしい衣装を纏った、僕の知らない大人の女性です。彼女は足をくねらせ、僕を見ています。
『誘惑。』、そうとしか今の僕には感じません。ただ、その目は間違いなく僕を誘っているのです。
行けば、どうなるのかはわかりません。ただ、僕は飛び込むしかないのです。
ゆっくりと膝で歩きながら、先生に近づきます。先生の目は、ずっと僕の目を見ています。すれと、寝ている彼女が、そっと手を差し伸べてくれるのです。
僕はその手に、自分の手を差し出しました。出した手は優しく握られ、彼女の元へと招き入れられるのです。
彼女の身体に乗ると、ダブついたベビードールが僅かにずれ、その肩をさらに露にしてしまいます。僕は覗き込むように先生の顔へと近づきます。
先生の目の上には、ブラウンのアイシャドゥが薄く塗られていました。化粧を施された先生の顔は、更に美人を感じさせるのです。
僕は先生の唇へと、近寄り始めます。先生には申し訳ありませんが、初めての女性にキスをするような感覚は、まだ僕には抜けません。
その時、『フゥ~~!』とそんな音が聞こえ、僕の唇に強い風を感じます。見ると下にいる先生が唇を尖らせているのです。。
『フゥ~~!』ともう一度音がして、それは彼女の口から出されているものでした。そして、『キスやささんよぉ~?』といたずらっぼく、僕に言うのです。
先生は笑っていました。その後も、何度も僕に風を送り、『キスやささん、ささん。絶対ささんよぉ~。』とおどけるのです。
それは僕の知っている先生でした。普段は真面目な感じの先生ですが、僕と一緒の時だけは少し違うのです。
おどけて見せる姿。きっと彼女が閉まい込んでいるはずのものが、僕だけには出せるのかも知れません。だから、いつも先生と一緒にいられたのです。
ふざける先生の肩を掴まえました。『キスはダメぇ~、』と言って、上へ上へと逃げる先生に乗り掛かり、耳元で『させて…。』と呟きます。
それでも、『ダぁ~メぇ~!』と嘲笑う言う先生に、『愛してる…。あなたが好きです…。』と告白をしました。
『もうねぇ、先生ことばっかり考えてるんです。先生は「いい子や。」って言ってくれたけど、違います。先生の裸ばっかり考えてるアホです。』と告げます。
その言葉に、ふざけていた先生が止まりました。『あなたはアホじゃないでしょ~?』と真面目に聞かれ、少し恥ずかしくもなります。
しかし、『あなたがそうなら、私はそしたらなにになるの~?』と聞かれるのです。僕は返事に困りました。うまく返せません。
先生は僕を抱えると身体を入れ替えて、今度は彼女が僕の上に乗ります。先生は僕の胸に肘を置き、顔を覗き込むのです。
彼女は黒の生地に手を掛け、『あなたに喜んで欲しくて、こんなの着てる私はなにぃ~?』と聞いてくれます。
そして、『そしたら、私だってアホよぉ~。タケ君のことばっかり考えてるわよ~。あなたの裸だって、想像くらいするよぉ~。』と言ってくれるのでした。
彼女の口からは、ワインの香りがしていました。さっき持っていたグラスには、ワインが入っていたのです。
歯を磨いてきたのでしょうが、その匂いだけは取れなかったようです。少し酔っているのでしょうか。
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