4月、某県立高校の始業式。
校長の式辞の後、壇上で教頭が新しく赴任してきた教諭らを紹介する。
最後に紹介されたのが保健養護教諭のリツコだった。
歳はおそらく30代前半、細身のスタイルにゆるく巻かれた長い髪、色気漂うリツコの姿に男子生徒達は色めき立った。
リツコはやや緊張した面持ちで手短に挨拶を述べると、最後にかるく一礼した。乱れてしまった髪を耳にかける仕草にリョウタは成人女性の艶っぽさを感じていた。
リョウタはこの高校に通う2年の男子。
真面目だけが取り柄の地味な生徒だった。
リツコに憧れる男子生徒達は用が無くとも保健室に入り浸り、彼女を困らせていた。リョウタはというと、そんな彼らを横目に保健室とは無縁の学校生活を送っていた。
しかしある日の放課後、部活中に突然具合が悪くなった彼はマネージャーの女子生徒に付き添われて保健室にやってきた。
扉を開けるとリツコが白衣をハンガーに掛け、保健室を出ようとしているところだった。
「リツコ先生、男子が具合悪いみたいなので診てもらえませんかー?」
マネージャーの女子生徒がリツコに言った。
『あ、いや、、も、もう大丈夫だからいいって、、』
「なによ、せっかく付き添ってきてあげたんだから診てもらいなさいよ。先生、よろしくおねがいしまーす」
リョウタは半ば強引に保健室の中に押し込められる格好になった。
リツコは白衣を着直してリョウタを診察台に座らせると、彼の汗ばんだユニフォームを捲り聴診器を当てた。前屈みになるリツコの胸元からは深い胸の谷間が覗く。間近でそれを見たリョウタはゴクリと息を呑んだ。
「ん~、動悸もあるし息も荒いわね。少し休んだ方がいいわ」
リョウタはそれが具合の悪さからくるものなのか、リツコの胸の谷間を見てしまったせいなのか、もはやよく分からなかった。
「付き添いありがとう。あとは私が見てるから、もう戻って大丈夫よ」
リツコが付き添いの女子生徒に礼を言うと、女子生徒は保健室を出て部活に戻って行った。
※元投稿はこちら >>