リツコの左隣に緊張した面持ちで腰掛けるリョウタ。
相変わらずリツコは静かに泣き続けている。白衣の滲みが少しずつ広がっていく。
リョウタはドラマで見たワンシーンを思い出していた。主役の男が優しく女性の肩を抱き寄せる光景が浮かぶ。
リョウタは戸惑いながらも右手をリツコの肩に回し、優しく抱いた。
リョウタの肩でリツコはさらに泣いた。
なんとか落ち着きを取り戻したリツコにリョウタが言った。
『あの、、僕にできることなら、、先生の力になりたいです、、』
「リョウタ君、、、」
リツコが顔を上げリョウタの目を見つめる。リョウタもまたリツコの潤んだ目を見つめ、頬に残る涙の跡を優しく拭った。
どちらからということもなく、2人はお互いに顔を近づけ淡いキスをした。リョウタにとっての初めてのキスは少しほろほろ苦かった。
「今だけ、少しの間でいいから、アノ人のことを忘れさせて、、」
リョウタが無言で頷いた。
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