それからも悪友との付き合いは続いたが三浦里奈さんへの思いは急速に失速した。とても
自分が相手にできる女性ではないと中2の頭にも分かったからだった。かといって
憧れる気持ちはむしろ強くなっていた。そのころから私は手に届かないと思うと
よけいに欲しくなる性質のようだった。ある休日、また悪友の家に遊びに行くと
友人の母親は外出中であったが見知らぬ女性がひとりいた。後で聞いた友人の話だと
お母さんと同じソープで働いている人で、わけがあって自分の家に帰れなくなり、
しばらく友人の2DKのアパートで寝泊りすることになったという事だった。
年は20代後半から30代後半くらい。当時の私には年上の女性の年齢がよくわからなかったのだ。
今から思えば30は過ぎていただろう。その女性の名前はルナさんと言った。
目の大きな人で更に化粧で大きく見せていたから、私には少し怖い感じがしていた。
ルナさんは私にホットケーキを今から焼くから食べるかと聞いた。私がはいと答えると、
友人に材料のメモとお金を渡して買ってくるように言った。自分が行くと私が言うと、
友人はお客さんだから待っててくれという。しかたなくルナさんと家で待つことになった。
ルナさんはヒマワリの絵がプリントされた赤いシャツにホットパンツを履いて、
きれいな脚を見せていた。少年の私は何を話してよいかわからず黙っていた。
するとルナさんが
「翔太(悪友の名前)とは付き合い長いの?」
「半年ちょっと、いや1年くらいです。」
「ふーん。ひとつ聞いていい? 彼女とかいるの。」
「付き合ってる人はいませんけど・・・」
「好きな人がいるんだ。」
「ええ、まあ、だけど、ちょっと遠い人というか・・・」
「だめ、男は行くときはガンと行かなくちゃ。」
「いえ、その人はほかに好きな人がいるというか、お父さんと仲良しで・・・」
ルナさんは何かに気が付いた表情になって、
「もしかして、その人って三浦さんじゃない。」
「ど、どうして分かるんですか。」
「どうしてって、翔太のママのお客さんだし、健二さんて言ったっけ、娘自慢なのは
いいけど近親相姦みたいだし。だけど、あの親子血の繋がりはないのよね。
亡くなった奥さんと不倫相手の間にできた子でしょ。亡くなった奥さんが
生命保険に入ってたらしくて大金を残したらしいのよ。その金で旦那がソープ
遊びに来てるんだから、あきれたもんだわ。まあ、どっちもどっちだけどね。」
私は話の内容がすぐに飲み込めず、よくわからないまま黙ってルナさんを見ていた。
するとルナさんが急に私の隣に移動して座った。柑橘系のきつい香水の匂いがしていた。
「ねえ、君、女の子と寝たことあるの?」
「い、いえ、な、ないです・・・」
ルナさんは私の膝の上に手を置いてさすりながら
「オナニーとかしてる?」
「え、いや、まあ、それは・・・」
私は喉がカラカラに乾いて鼓動が早くなるのを感じていた。
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