徐々に辺りが暗がりに包まれ、先程まで聞こえていたヒグラシの声もいつの間にか止んでいた。街灯もまばらな田舎道を農作業を終えた村人数人が家路を急いでいる。
屋敷のなかでは奥さんが艶かしい体をくねらせながら、忙しそうに宴会の準備をしている。
二間続きの広い和室を開け放って、来客用の大きなテーブルを並べるというので、和也もそれを手伝いながら奥さんに話しかけた。
『今日はこれから何人ぐらいいらっしゃるんですか?』
和也の問いに奥さんは手を止め、来る客を思い浮かべて指折り数えた。
「そうねぇ、、10人ぐらいは来るんじゃなかろうかねぇ」
『そんなに、、それを奥さんひとりで支度するのは大変でしょう、何か手伝いましょうか?』
「とんでもない、お客さんは座って休んどってくんさい」
奥さんは料理の支度のために再び台所へと戻っていった。
和也が屋敷の縁側で次第に黒に染まっていく空を見上げていると、村の男達が続々と集まってきた。先程ハウスの中で青姦していたあの若い農夫も色白の綺麗な奥さんを連れてやって来ていた。。
男達は皆、その手に天狗の面を携えている。
男達が宴席についたところで仰々しく旦那が登場し、乾杯の挨拶をはじめる。
『皆、よう集まってくださった。今日は年に一度、天狗様が村に下りて来られる日じゃ。皆、天狗様さ感謝してじゃんじゃん呑んでくれや。乾杯!』
『かんぱぁ~い!』
一同、声の揃った乾杯の掛け声とともに夜の宴は始まった。
つづく
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