手に残ったナプキンの手触り。しかし、本当は白いパンティーに貼り付いたものを見てしまっていました。
それは生まれて初めての経験で、『ああやって使うものなんだぁ~。』と、なにか得した気分でもあります。
しかし、気まずく別れた気もしていて、頼みは美和子さんからのラインとなります。僕からは送ることは控え、彼女からの送信を待ちます。
送られてきたのは、次の日でした。『昨日ごめんねぇー。おばちゃん、なんかおかしかった~?』と、責任を感じているようです。
更に『気分よく酔ってたからー。後に残さんとってよー。』と、僕を気づかってもくれるのです。
スカートをめくり上げ、パンティーをずらし、アソコを触ろうとした僕なのに、それには一切触れられてはいません。
『申し訳ないのは僕の方なのに…。』、頭の中では、そんな気持ちばかりが繰り返されます。
スマホを取り出して時計を見れば、夜9時半を過ぎていました。僕は、寂れたチャイムを押します。鳴らなきゃ、帰るだけです。
部屋の中で、いかにも古そうな『ジィィィ~…』という音が響いています。家の明かりが灯り、女性の声で『どちら様~?』と声が掛かります。
『こんばんは、僕です。』、近所に聞かれないように、そしてとても小さく早口で言ってしまいます。
玄関の扉が開かれ、『加藤くん~?どうしたのよぉ~?』と美和子さんに聞かれます。もう『遊びに来た。』では済まされない時間帯です。
来た理由など考えてなく、返事に困る僕に、『入りよ~。』と美和子さんが助けてくれます。いつもの居間に通され、彼女がお茶を運んで来ます。
『来る時はラインしてよー。トモもお嫁さんとよく来るから。』と息子の目もあると言われます。
その言葉から、美和子さんも僕との関係が、もう正常ではないと思っているのです。
消されていたテレビがつけられました。お笑い芸人だらけのクイズ番組を観ても、ちゃんと笑うことが出来ません。
彼女のたまに出る笑い声が、静かな部屋に響いています。結局、たいした会話をすることもなく、時間だけが過ぎてしまい、11時を回ります。
もちろん、この家で迎えた一番遅い時間帯であり、この家で過ごす最長時間の更新でもあります。
夜11時。各局はニュース番組が始まります。彼女の笑い声も消え、帰るタイミングのない僕とで、まったりとした時を過ごします。
特にやることもなく、特に会話があるわけでもない、そんな時間です。
『そろそろ言いなさいよー。もう寝る時間よー。』、テレビを観ているおばさんが口を開きました。玄関をくぐってから、2時間以上も経っています。
それでも、『加藤くん~?どうしたのぉ~?』と最初に聞いたことを忘れていなかったのです。
次の返事を言うのに、かなりの時間と労力が必要でした。相手は友達のお母さん、50歳過ぎたおばさんなのです。素直に言えるわけがありません。
うつむいた僕の頭に、母のような手が触れました。僕の頭はその手に上げられ、視線の先にはある女性がいました。
そして、『言えるのぉ~?』と言った女性。それは、10年前のマッチィのお母さんそのものでした。
遊びに来た小学生の僕が見た、友達のお母さん。なぜか顔は覚えていて、大人になった友達よりもすぐに記憶の引出しから出てきた。
自分の母親の優しい目ではなく、遊びに来た息子の友達を見てくれている優しい目。この時のおばさんは、そんな目をして僕の顔を覗き込んでいたのです。
『おばさんに会いたくなって、来たわー。悪かったー?』、やっと出た言葉。それには、『おばちゃんに会いに来てくれたのー?』と聞き返してくれます。
ほんと、母親のような優しい目をしていて、それでいて全てを理解されてしまっている大人の女性の目でした。
『好きやけど、悪いー?』、初めて好きと言ってしまいました。『なにも悪くないよー?どしてー?』と返事をされます。
返事に困る僕に、『おばちゃんが好きだから、会いに来てくれたんでしょ?なにも悪くないよー。』と僕を正当化をしてくれたのでした。
そして、美和子さんから『帰るー?どうするー?』と聞かれました。もちろん、これはおばさんからの誘いであり、僕の断の時。
自信はありません。彼女は友達のお母さんでもあり、こんな年上の方と夜を共にしたこともありません。
それでも決断を迫られてしまい、もう何が正解かも分からないのです。
『おばちゃんと一緒に寝ようかぁ~?ん?どうするー?』と、彼女に下から覗き込まれました。
思わず、『いいのー?』と答えてしまいます。とても卑怯な返事でした。そこまで彼女に言ってもらわないと、自分の気持ちも言えないのですから。
美和子さんは、『私も、タカトくんに、隣に寝てもらいたかったのー。』と言ってくれたのでした。
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