わざわざ電話を掛けてきたマッチィでしたが、たいした用もなく、アッサリと切られます。『なんだ?こいつ?』、僕は意味不明な彼に不信を抱くのでした。
台風の接近するなか、家に着いたのは午後2時半過ぎでした。駐車場に車を置き、すぐさま美和子さんの家へと向かいます。
傘もささず、雨に打たれながら近所の路地を歩きます。一度濡れてしまえば、もう同じこと。ずぶ濡れになっても、慌てることなく歩を進めます。
美和子さんの家に着きました。玄関が開き、僕を見たおばさん。『あんた、傘はぁ~!?ずぶ濡れやないのー!』と第一声でした。
『ちょっと、そこにおりなー!』と言って、僕は玄関に立たされ、おばさんは奥に走ります。戻ってくると、手にはバスタオルが持たれていました。
濡れた作業服を脱いでいると、そのバスタオルが頭から被せられます。タオルで髪をゴシゴシされ、それはまるで母親の手です。
『傘くらい持っておきー!』と呆れながら、母親の手は子供の頭をタオルで吹くのでした。
頭からタオルが取られました。少し乾いたようです。『お風呂入る?』と聞く彼女に、キスをせがみます。『きっと透かされる。』、そう思っていました。
しかし、美和子さんの唇は1段高くなっている床から降りて来て、僕の唇と重なるのでした。軽いキスです。
唇が離れると、『ほら、お風呂入りー!』と何もなかったように彼女は僕に促すのです。
濡れたくつ下のまま、家に上がります。すぐに薄暗い廊下があり、その先に風呂場があります。案内をするように僕の前にいるおばさん。
その彼女を、ずぶ濡れの僕は後ろから抱き締めました。『こらぁー!私が濡れるやろー!?』と、すぐに彼女が怒ります。
しかし、マッチィの部屋の扉におばさんを押さえつけて唇を重ねると、『もう、ダメってぇ~…。』とその語尾が緩みました。
『好きや…。』と言って身体を求めると、彼女の唇の圧が強まりました。それは唇だけでなく、身体にも伝わって来ます。
あれほど濡れた僕に触れられるのを嫌がっていた彼女でしたが、スカートを押し付け、片足を上げて僕に絡ませようとして来るのです。
薄暗い廊下で、『ハァ…、ハァ…、』という二人の吐息が響いています。目が合うと、濡れてしまうのを分かっているのに、してしまった行為を笑うのでした。
『美和子さぁ~ん?一緒に、お風呂入ろぉー?』、初めて彼女を名前で呼んだのはこの時でした。もちろん恥ずかしくて、甘えたように言っていました。
『うちのお風呂狭いってぇー。』と拒む彼女を、『美和子ぉ~!行くんよぉ~。』と更に呼び捨てにして、手を引くのでした。
狭い脱衣場で服を脱ぎ、先に僕が風呂場に入ります。すぐにシャワーを出して浴び、後から入ってくるであろうおばさんを待ちます。
『入って来ないかも…。』、勢いだけで言ったので、もしかしたら来ないかもと思ってはいました。『入って来ないなら、それもいい。』と割り切りもします。
しかし、すぐに風呂場のドアが開き、全裸の美和子さんが現れます。『お湯、熱くない?』と、頭から浴びている僕に声を掛けるのです。
僕の手にシャワーヘッドが握られ、彼女の上半身に掛けられます。そのお湯を身体に染み込ませるように、手で濡らせていく美和子さん。
彼女の顔を見ると、化粧を落としたのか、スッビンなのが分かり、確認をして頭からお湯を掛けてあげるのです。
彼女の手は、頭から流れ落ちるお湯をすくいとり、顔になすられます。彼女の両手は、何度もゴシゴシと顔を洗うのです。
シャワーヘッドがフックへと戻されました。まだ、顔に掛かったお湯を手でゴシゴシとしているおばさんを抱き締め、風呂の扉へと押し付けました。
ようやく目を開いた彼女でしたが、すでに唇は僕の唇で塞がれています。『美和子さん…、美和子さん…』と名前を呼ぶ僕に、彼女はすぐに答えてくれます。
『来なー、もっと来なよー。』、僕を誘う彼女。こんな彼女を見たのは初めてです。やはり、男に自分の名前を呼ばれた効果でしょうか。
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