美和子さんは一旦自分の部屋に戻り、着替えを済ませて再び現れます。僅か5分程度だったにも関わらず、ちゃんとおしゃれな服に着替えています。
白のブラウスにブラウン系のスカート、足には黒いストッキングが履かれ、初めて見たおばさんのよそ行きの服装の着こなしに、大人の女性を感じさせます。
身長が低いのに、ちゃんとこれだけ着こなせるのは、やはりスタイルのよさでしょうか。うちの母では、『こいつ、痛いヤツやな…。』です。
おばさんは化粧台の前に座ります。鏡を見ながらの、簡易的なお化粧が施されます。それを僕も、鏡越しに見ているのです。
母親のそれには興味がありませんが、やはり他の女性だとそれは別です。マッチィのお母さんも同様、僕にはエロの対象なのです。
化粧をしているおばさんから、『加藤くん、車出せるー?』と聞かれました。『ああ、出そうか?』と言って、一旦自分の駐車場に向かうのです。
夜道を歩きながら、『あ~あ~、もう少し見たかったなぁ~。』と、彼女が手にした赤いルージュを塗るシーンを見られなかったことを後悔するのでした。
車に乗り、再びマッチィの家を目指します。ライトをつけ、狭い路地に向かいます。しかし、路地に入る曲がり角に女性が立っていました。
美和子さんでした。わざわざ、広めの道にまで出て来てくれていたのです。車の前を横切り、彼女が助手席のドアを開きます。
乗り込んだ途端に、『いこ!車、出そうー!』と急かします。やはり、近所の目が気になり、早くこの場を去りたかったのでしょう。
車は狭い町道を抜け、広い県道に出ます。すぐに彼女は車内のルームランプをつけ、ハンドバッグの中身を再度確認をしています。
ルームランプの薄明かりの中、彼女を見ました。その唇には、ちゃんと赤いルージュが照かりを見せていました。
そんな彼女に、『どこ行くー?』と聞いてみます。ラブホテルに行くとは言ってましたが、どこかは聞いていませんでしたから。
ハンドバッグを覗きながら、『任せるわぁー。』と言われます。今の彼女には、ハンドバッグの確認の方が大事なようです。
車は、東に向かって走っていました。どことは決めてませんが、こっちに向かえば5~6軒のラブホがあったのを覚えていたからです。
一軒通り過ぎ、二軒目も通り過ぎ、このあとは3つのラブホテルが並んだホテル街となります。その一軒目で、『ゆっくり走ってー。』と彼女が言います。
なかなか決めかねている僕に、しびれを切らしたのかも知れません。『自分が決めてやらなきゃ。』と、年上意識なのでしょう。
『ここにしようかー?』と彼女が言ったのは、その3軒目のホテル。どこも同じようなもので、彼女も『どこでもいいかぁ。』と最後に妥協をしたのです。
ゲートをくぐると、やはりここはラブホテル。雰囲気が一転をします。薄暗い外灯の中、他のカップルの車も確認が出来ます。
彼らも今、このホテルの中でいいことをしているに違いありません。そんな場所に、僕達も来てしまったのです。
車を降り、歩いてフロントに向かいます。どうしても母親の後ろを歩こうとしてしまう僕に、美和子さんは手をかざして『先に行け。』と指示をします。
『ここは、男が女を招くもの。』と言うのを、彼女は心得ているのです。
部屋選びのパネルの前。日曜日の夜なのにかなりの空室があって、選び放題でもあります。そこで、僕は壁が暗めの部屋を選びます。
すぐにフロントの方に、『前料金になります。』と声を掛けられ、僕は財布を取り出します。しかし、その死角から、5000円札が延びて来ました。
美和子さんでした。『ええよー。』と断ろうとしますが、小さな身体に押されて、フロント前を占拠されてしまいました。
『自分が払う。』と彼女に主張をされるのでした。
『エレベーターでお二階へ。』と説明を受け、二人でエレベーターに乗り込みます。部屋に向かっている緊張からか、階数表示のランプばかり見ていました。
部屋に入りました。中は真っ暗で、ベッド灯だけが点いていて、そのベッドを照らしているのです。先にハイヒールを脱いだ彼女がベッドに向かいます。
照明がゆっくりとつけられて行き、部屋全体が明るくなりまし。おかげで、ようやく僕も彼女も緊張感が解れていくのです。
彼女は上から羽織っていたカーディガンを脱ぎながら、『いい部屋やねぇー。』と僕に言います。
僕に『招かれた。』のですから、ちゃんとお世辞を言ってくる彼女には、さすがだと思わされます。
美和子さんはハンドバッグを下ろし、カーディガンを脱ぎます。僕はと言えば、何にも持たずに来ているので、僅かな間が持ちません。
しかし、彼女がリモコンでテレビをつけてくれたことで、そんな僕は少し救われるのでした。
日曜日の夜10時。バラエティーやドラマなど、いろんな番組がやっています。彼女は次々とチャンネルを変え、『これー?』と僕に聞いて来ます。
それは、アダルトチャンネルでした。綺麗な女優さんが、男にいじられて『アァ~ン!アァ~ン!』と叫んでいます。
いくら関係を持ったおばさんとは言え、やはりこれを一緒に観るのは、まだ抵抗があります。
しかし、僕の返事などする前に、彼女の手によって、音量のポリュームがどんどんと上がっていきます。女優さんの声が、部屋全体に響くほどです。
しかし、チャンネルは変えられます。アダルトチャンネルは、数局受信をされているようです。その1チャンネルにおかしなものがありました。
でも、『おかしなもの。』とは彼女にとってであり、僕にとっては、ごく普通。よく観ている、『近親相姦もの』なのです。
このAVについて、僕と美和子さんとの間で議論されることになろうとは思ってもみませんでした。
※元投稿はこちら >>