土曜日は息子のマッチィが帰ってくると聞かされ、諦めました。
迎えた日曜日も、『お昼から、息子夫婦が来るわー。』と朝にラインが入り、この日も諦めます。これは仕方がないこと。
美和子さんは、マッチィの母親。息子のお嫁さんも一緒となれば、母親として振る舞うのは当然のこと。部外者の僕がどうこう言える話ではありません。
チンポをギンギンにして、僕が狙っている女は、そういう人なのですから。
美和子さんを諦め、遠出を仕掛けた矢先でした。午後3時を過ぎた頃、おばさんからラインが入ります。
『なにかしてるー?』と掛かれていて、『この状況でラインをしてきたということは、もしかして。』と一気に色めき立ちます。
『どうしたー?』と、祈る思いで送り返します。答えは、『息子、帰ったから。』とうれしいものでした。
バカな僕は、母親ではなく、女としての美和子さんを想像してしまいます。もう、裸にして布団に押さえつける彼女しかイメージ出来ないのです。
高速道路に乗っていた僕は、インターチェンジでUターンをし、一路自宅へ向かうのでした。
歩いて彼女の家に向かったのは、午後4時を過ぎていました。しかし、ここは住宅地です。日曜日の4時となれば、またまだ外に出ている顔見知りの方は多い。
おばさんの家の廻りにも人が出ていて、うかつには近づけないのです。変な噂はすぐに広まりますから。
僕は一旦、おばさんの家を通り過ぎます。少し離れたところにある自販機でジュースを買い、タイミングを計るのです。
自販機に長く居座る、不審な男。『これ以上は無理。』と判断をし、覚悟を決めて、彼女の家に向かいます。
路地を歩き、彼女の家の横を歩きます。あの、外から聞かれそうな小さな古い窓も通り過ぎました。後は、さっきまでいたご近所さんの存在だけです。
彼女の家の玄関が見えました。『もう、誰が居ても、チャイムを押そう。』と意気込んでいましたが、ご近所の方はみんな家の中へ引っ込んだようです。
玄関から、美和子さんが現れます。時間が掛かった僕に、『今日は来ないのかと思ったわー。』と言われてしまいます。
居間に移ると、テーブルの上に飲みかけたビール缶が目に入りました。おばさんは、もう飲んでいるようです。
『ごはん、食べられるー?カレーあるけど…。』と聞かれます。夕食は夜7~8時の僕ですから、まだお腹は空いてはいません。
しかし、『もしかして、僕のためにー?』と考えてしまい、『食べるー!』と大きな声で答えるのでした。
テーブルにカレーライスと、ポテトサラダが並びました。2つ運ばれて来たと言うことは、おばさんも一緒に食べるということです。
他人の家のごはんの味、少し心配もしましたが、カレーライスなので間違いありません。気になったのは、ルーよりも、ライスの方。
やはり、家の味とは違いました。
目の前には、美和子さんが座っています。ファミレスや喫茶店ではなく、普通の家の食卓のテーブルでです。
それは新鮮なものではなく、『俺、なんで人の家で普通に飯くってるんだー?』という違和感。目の前の方も、自分の彼女ではなく、近所の友達のおかあさん。
10年前まで遊びに来てた、この家のおかあさん。違和感が違和感を呼ぶのです。
食事が終わりました。テレビては、『サザエさん』がエンディングを迎えようとしています。畳の上に座り、それを見ながら時間を潰します。
おばさんもスローながら、缶ビールを片手にそれを飲み干していくのです。おかしなものです。
意気込んで来ましたが、いますぐに彼女をどうこうしようとは思わないのです。ゆっくりと流れるこの時間が、どこか心地よいのでした。
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