昼食後、海女達が漁具の手入れをするというので和也も手伝うことにした。
もちろん彼にとって生まれて初めての体験だった。
「兄ちゃん、男のくせにへたクソじゃのぉ」
「ダメダメ、そんな汚ったないもんはやり直しじゃて、ハイもう一回!」
『す、すみません、けっこう難しいんですね、、』
不器用な和也に、婆さん達から容赦ない言葉が浴びせられる。そんな彼を美咲が優しくフォローしてくれた。
「和也さんは初めてなんだから、みんなもっと優しく教えてあげてくださいね」
すると今度は美咲が婆さん達に冷やかされた。
「なんじゃ美咲ちゃん。やけに兄ちゃんに優しいのぉ 笑」
「さっきも2人で仲よさそうに話しとったもんねぇ 笑」
「美咲ちゃんのほうが、兄ちゃんに惚れちまったんと違うのかい? 笑」
「ち、違いますよ、、私はただもっと優しくしてあげたらと思って、、」
美咲は照れて頬を赤くしていた。
尚も厳しくも愛のある指導を受けながら和也はめげずに真剣に手伝った。もはや取材のことなど忘れてしまっているようで、ただ黙々と手先を動かしていた。
気がつけばあっという間に時間が経ち、外は綺麗な茜色の夕焼けに染まっていた。
つづく
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