彼女はしぶしぶメッセージアプリを起動したものの、指先が固まり動かなかった。
「や、やっぱりできません、、」
『できますよ。いつも彼を誘うときのように送ればいいのです』
彼女は少し考えた後、決心したのか少しずつ指先を動かし始めた。
〈お疲れさま、まだ仕事?〉
《お疲れ、今、会社出たとこ》
〈ねぇ、これからウチ来れない? ユウタは実家に預けてるから誰もいないの〉
《おいおい、おとといも昼間お前んちでヤッたばっかだろ 笑》
私が彼女の顔を覗くと、彼女は目を逸らした。
私は構わず続けるように言う。
〈また会いたくなっちゃったの、、ねぇ、お願い〉
《分かったよ、カミさんには飲み会で遅くなるって言っとくから》
〈ありがと、、それじゃあ家で待ってる〉
《おぅ、それじゃあまたあとでな》
〈うん、またね〉
彼とのやりとりの後、彼女は深い溜息をついた。
不本意に彼を騙してしまったことに罪悪感を感じているのだろう。
私は彼女に身支度するように言った。
ブラジャーを着け直し、濡れたTバックショーツの股布を心地悪そうに元に戻す。床に落ちたままのワンピースを拾い上げ、脚を通し尻をねじ込んで背中のファスナーをもと通りに閉めた。
静まり返った園を後にし、彼女を後ろからエスコートするように車の助手席に乗せ、自宅までの道を案内させることにした。
彼女は窓に微かに映る自分をぼんやりとした瞳で見つめている。
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