節操のない者達 Ⅰ ②
「あっ、工藤さん、じゃなかった工藤課長も[お揃い]なんですね?、ストラップ。」
そぅ聞いてきた岩渕さんに悦ちゃんが、
「そぉなのよぉ。『ストラップ買いにだけの為に100均行くのなんて面倒くさい』とか言っちゃってさぁ。」
「沙織ちゃんのもクタビレて来てたから ついでにね。」
「なんなら岩渕さんの分も作ったげよっか?」
と、ネームを手に取って見ていた。
「これは?、[茜:あかね]で良いのかしら?」
岩渕さん
「はい。」
「名前だけは可愛いね。ってみんなから(笑)…。」
「あっ。わかりますぅ それー。」
「私も そぅなんでぇ(笑)」
と、笑いながら沙織が立ち上った。
悦子
「そぅ、じゃぁこれからは[茜ちゃん]で良っかぁ?」
岩渕さん
「この歳で[茜ちゃん]なんてぇ。」
「何年も呼ばれてないから 恥ずかしいって言うかぁ。」
悦子
「あらっ、じゃぁ私はどぉすれば良いのかしら!?」
と笑っていた。
すると、[おい!、工藤!]
と、単純に俺を気に入らないだけの 専務の[注意]が飛んできた。
そこに10:00のチャイムが鳴った。
で、どぅやら専務は 次の言葉を呑み込んだ様だった。
悦子
「そぉだぁ。さっきは『皆で…』なんて言ったけどさ、お揃いにしようかな カップも。」
「ほら、くっつけると[ハートマーク]になる奴、どぉお?俊くん?、ねぇ。」
俺
「あの 若い同棲カップルが使う様なやつっすか?、今時そんなの使ってる奴居るんすかね?」
「お揃いは構わないっすけど、それは勘弁して下さいよぉ。」
悦子
「あらっ、良いじゃない?」
「色ちがいとかで2組買ってさぁ、『今日は誰と誰がカップルかなぁ?』とか、ダメ?」
沙織
「『ふた組』って、私と茜さんと…って事ですよね?、私はともかく、茜さんは どぅするんですか?。」
「坂東さんに怒られません?」
茜
「そのくらいの『妬きもち』やかせてみたいかも(笑)」
悦子
「じゃぁ、帰りに探してこよっと。」
沙織
「じゃぁ、私も…。」
沙織が何か言いかけた時に パンパンと手を叩きながら 大島さんがやってきた。
「お前ら、休み時間 終わってるぞ!」
「工藤。鉛筆や消ゴムからUSBまで 足らない物があったら岡田に揃えて貰え。」
「PCだって お前 これ(人差し指1本でキーボードを叩く真似をして)なんだろ?、PCも助けてやれよ岡田。」
「その為に背中合わせにしたんだから お前ら。悦ちゃんじゃ危なっかしくってしょうがねぇからな、何しだすか分かったもんじゃねぇ。」
「でも こいつ、俺よりも手ぇ早ぇぞ、気を付けろよ岡田。アハハハア。」
と、笑いながら帰っていった。
「じゃぁネ、沙織ちゃん、俊くんの事お願いね。」
と、沙織の短めの髪の 襟足から背中に 少しだけ垂れているストラップをツンツンと引っ張って 茜さんと一緒に机に戻っていった。
あーだこーだ話してるうちに時間になってしまって、結局10:00のお茶はナシになってしまった様だ。
机に戻り椅子に腰かけた沙織が『カラカラカラッ』と、椅子に座ったまま俺の横にずれてきて
「悦子さん意地悪ですよね?」
「思わず『アン』って(声)洩らしちゃいそぅでした。」
「俊さんは、私を呼ぶときに そんな事しないて下さいよね。」
沙織は そぅ俺の耳元で小声で言うと『カラカラ』と机に戻っていった。
俺は椅子を少し引いて、机の引き出しを下から順に開けていった。
引き出しの中は みごとに『空っぽ』だった。
「あのさ、さっ おりちゃん、『空っぽ』なんだけど、何にも入ってないよ?、ボールペン1本も。」
と、垂れたストラップを引いて沙織をよんだ。
また カラカラと俺の横に来た沙織が
「もぉぉ、いま 何て呼ぼうか迷ったでしょ?、工藤課長。」
俺
「だから、その『課長』は やめろって。」
沙織
「はいっ、工藤ぉ課長ぉ(笑)」
「まだ何も準備してないですよ。」
「なんで さっき大島さんが『…揃えて貰え』って。」
「ご案内しますよ 備品庫、こっちです。」
また ニッコリと微笑んだ沙織が立ち上がった。
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