普段は18時くらいまで会社にいる僕が、この日は17時ピッタリに会社を出ました。車はボウリング場ではなく、少しはずれにある公園を目指します。
普段なら40分くらいの道のりも、帰宅ラッシュとも重なり、時間はドンドンと過ぎてしまい、僕も焦り始めます。
あゆみさんからLINEが入りました。すでに現地に着いて、僕を待ってくれているようです。結局、時間は倍掛かってしまい、着いたのは18時半でした。
その公園には、すでに多くの人が集まっていました。その中で彼女を見つけ、会場の中に足を踏み入れるのでした
『うわぁ~、きれい~。』、それを見た彼女が思わず声をあげます。公園一帯のイルミネーションでした。
デートらしいデートをしたことがなかったので、これが初めてだったのかも知れません。辺りが暗いこともあり、堂々と彼女と手を繋ぐことが出来ました。
すれ違った人には、僕たちは『親子。』と見えるかも知れません。しかし、他人は他人、僕達には気になりません。
『恋人たちの聖夜。』、確かそんな名前だったと思いますが、とあるイルミネーションがありました。入口から一番遠い場所にそれは作られていました。
何も知らない僕達は、ルート通りに足を進め、このイルミネーションにたどり着くのです。
若いカップルがキャキャとはしゃいでいます。その時、イルミネーションの光が走り、高く舞い上がります。
走った光は、高いところで花火のように広がるのです。その瞬間を狙い、勇気あるカップルはその下でキスをするのです。
5分に一回なのか、10分に一回なのか知りませんが、そのイルミネーションの花火が上がると、人もまばらになっていました。
もちろん、僕達がそれに挑戦をするなどありませんでした。さすがに、あゆみさんの方が嫌がります。ここでは無理です。
翌日、僕たちの目の前にはあの花火が上がりました。『やるん~?』と聞いてきた彼女でしたが、いざ始めると乗り気であります。
少し激しいキスを終えると、彼女の目は少し潤い、名残惜しそうな顔を見せます。『あれは、男を喜ばせる目だよなぁ~。』といつも思うのです。
すぐにでも、次のキスをしたいとも思ってしまいます。また花火が上がりました。『やるん~?』、とその度に彼女が聞いて来ます。
スマホで録られたあのイルミネーションの映像は繰り返し再生され、その度に二人のキスも繰り返されるのでした。
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