店内は手前にカウンターがあり、その奥にかなり大きいソファーのカップルシートが並び、ライトの微かな明かりが灯り、それぞれのシートは薄いカーテン一枚で仕切られている。
「いらっしゃいませ。お席のご希望は?」
「マスターのお任せでお願いします。ドリンクはワインを。」
「ではA-11番のお席にどうぞ。ドリンクはすぐにお持ちします。」
私は涼子が店内の様子を伺っている間にカウンターに立つマスターに席を決めてもらい、ドリンクをオーダーした。
この店の『マスターにお任せ』は、互いに見せ合う事以上を希望すると言う合言葉で、その席は一番奥のAシートとなっている。
末尾0はお相手待ち、末尾1はお相手希望となり、マスターの鋭い感でカップル同士を組み合わせ、後の事は客同士で楽しむシステムだ。
「私、こんな雰囲気好きです。この空間って何だか落ち着きます。」
「じゃあ行こうか。」「は…はい。」
世間知らずのお嬢様は店の雰囲気が気に入った様だが、暗い店内に入ると私に抱き着く様に歩き、指定された席の前で私の腕を掴んだ。
「ここは…喫茶店ですよね…。」
「ここはカップルが楽しむ喫茶店だよ。邪魔しない様に、そっとしてあげよう。」
薄暗い中で目が慣れてくると、薄いカーテン越しにそれぞれのシートの人影が見え、隣の席ではソファーに座る男性の上に女性が跨がりディープキスをしている姿が見えた。
私は薄いカーテンを全開にして席の奥に座り、涼子を隣の席が良く見える通路側に座らせると、マスターがワインを持って私達の席に来た。
「ではゆっくりとお楽しみ下さい。」
マスターはワインのボトルとグラスを置くと隣の席のカップルに何かを囁き、カウンターの方に戻った。
「こんな喫茶店…あるのですね…。」
「一人で入れない喫茶店って意味がわかった?君にとっては社会勉強かもな。とりあえずワインで乾杯しよう。」
涼子は私に密着し、会話は涼子の熱い息が顔に触れ、アルコールを含んだ甘い香りはビリビリと脳を刺激し、涼子も私の熱い息を感じ、身体をビクビクと震わせていた。
その刺激を失いたくない私は涼子の目を見つめワインを口にすると、涼子も目を潤ませながらワインを飲み、さらに私に寄り掛かり、涼子のぷっくりとしたピンク色の唇が私の唇の数ミリ先に近付いた。
『あぁぁ…!ダ…ダメ…!こんな所で…!あぁぁ…!イッ…イィ…!』
その時、隣の席の女性の悩ましい声が聞こえ、涼子は目を大きく広げ視線を隣の席に移した。
「そ…そんな…。ウッ…!」
涼子は隣の席の光景を見た瞬間に慌てて視線を戻したが、偶然に私達の唇が重なった。
「ご…ごめんなさい…。私ったら…。」
「私は嬉しいよ。君が嫌じゃなかったら…。」
「課長…。これってキス…。私…。」
唇を重ね合ったままの会話。お互いに唇が離れる事を拒む様に数十秒の時が進み、私の舌が動いた時、涼子の唇がゆっくりと開いた。
舌先が涼子のぽってりとした唇に触れながら熱を帯びた舌先に触れ、そこを優しく突いた。
「ンッ…!ンッンッ…!ンッ!」
私の舌先はゆっくりと口内へと侵入し、涼子の唾液と絡み合った。
涼子の腰に手を廻し身体を引き寄せると涼子の手が私の首に巻きつき、互いの唇が押し付けられ舌が絡み合った。
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