さおりさんの退行催眠を一時中断させ、彼女の精神が落ち着くのを待った。
僕はある不安を抱えていた。
「まさかな、、、」
頭の中に過ぎる不安をかき消すように僕は首を横に振った。
さおりさんが目を覚ました。
僕の口から旦那さんがここにいる訳を話した。
どうやらさおりさんは納得してくれたようだった。
僕はこれからさおりさんの心の奥底に眠る彼女しかわからない心の扉を開けるかどうか迷っていた。
僕はさおりさんの目をじっと見た。
その瞳の奥に宿る誰も覗いたことのない世界を見てみようと思った。
先程は針を刺すといった部分からさおりさんは取り乱したのであった。
だから、その部分に彼女の本質が隠されているのだと僕は推測した。
もう一度彼女をリクライニングシートに座らせ退行催眠をかけていった。
今度はゆっくりと丁寧に質問していき彼女の確信部分に近づいてきたように感じた。
「さおりちゃんは針が苦手なのかな?」
「ううん、人が傷つくのが嫌いなの。」
「そうなんだね。さおりちゃんは人を傷つけたくないんだよね?」
「、、、うん、、、」
僕はさおりさんが誰かを傷つけたのだろうと思った。
僕は20年ほど前に起こったある事件を思い出した。
僕の心臓の鼓動が速くなり身体中の血が燃えたぎるように感じていった。
僕はある言葉をさおりさんに投げかけた。
「お父さん、、、ナイフ、、、、殺人、、、」
さおりさんは大きく目をひん剥いてその場で暴れ始めた。
親父と旦那さんが彼女の身体を押さえつけた。
僕はトランクルームに積み込んでいたロープを手に持つや否や彼女の身体をそれで縛り付けていった。
どうやらビンゴだったみたいだ。
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