(親父ぃーーーーっ)
僕はつい声を上げてしまうところだった。
僕の住むマンションは親父の管理しているマンションの一つだった。
親父は僕とは違うマンションで母と暮らしているが、親父の姿を見るのは半年ぶりだった。
以前は綺麗にカミソリで丁寧に剃られたスキンヘッドだったが、今の格好は茶髪にパーマを当てたちょいワルオヤジになっていた。
もちろん親父はさおりさんとも賃貸契約などで顔は合わしているだろうが、なぜ?親父があんなにも可愛いさおりさんと待ち合わせをしているのか謎だった。
親父はさおりさんをエスコートしていた。
親父の左手は助手席の扉を、右手はさおりさんの丸みを帯びたお尻に回されていた。
国産車とは異なり運転席と助手席が反対の外車なので、幸いにも運転席から僕の姿は見えなかった。
だが、助手席に座ったさおりさんからは僕の姿が見えた。
素人ながらも変装していたので、こちらの姿を見たさおりさんも僕には気づいていないようだった。
親父が運転するシボレーが動き始めた。
僕は急いで通りに出て手を上げてタクシーを止めた。
「あの外車を追いかけて。」
そうタクシー運転手に告げて親父の車の後を追った。
しばらく走ると親父が管理する別のマンションの駐車場にシボレーが止まった。
僕はタクシー運転手に金を払いタクシーから降りて、植木に身を潜め親父の車の様子を伺った。
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