実はこれもすべて僕の計算だった。
大学で心理学を専攻している僕はさおりさんの感情に揺さぶりをかけ、正常な判断力を奪うのが目的であった。
ただ、根が優しいと自負する僕が鬼畜のような親父と同じ行動を取ることが出来たことには僕自身驚いた。
まんまと僕の術中に嵌ったさおりさんは目が虚ろになり口が半開きとなり、正常な判断が出来ない心理状態となった。
ここでもう一押しが大切である。
「あなたを救えるのは僕だけです。旦那さんではなく僕だけなのです。あなたのすべては僕だけが守ることができます。そう、あなたは僕なしでは生きられないのです。」
さおりさんは僕の声を聞き、何度も首を縦に振って頷いた。
身体中の筋肉が弛緩し、ゴム人間のようにぐったりとしていた。
(あともう一歩で最終段階に入れそうだ。さおりさんを完全に操り人形状態にさせて、僕の思い通りにさせないといけない。)
僕はさおりさんを完全にコントロールするために、彼女をソファに座らせた。
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