親父と電話を切ってしばらくすると、インターホンのチャイムが鳴った。
僕はインターホンのモニターで訪問者の顔を確認した。
そこには数日間どのように脅そうかと考えていたさおりさんの顔が写っていた。
僕は玄関に行き扉を開けて玄関にさおりさんを招き入れた。
「どうされたのですか?」
「あっ、この前の鍋を取りに来ました。」
「すみません。何度かお持ちしたのですがお留守だったみたいで、あっ、ちょっと待ってて下さい。今持って来ますから。」
「あっ、ちょっと待って。それとは少し別のお話も、、、」
「それなら、散らかってますが部屋に入りますか?」
さおりはコクリと頷き、靴を脱ぎ丁寧にそれを並べて部屋に上がった。
ソファにさおりを案内し座ってもらうよう促した。
今日のさおりさんの格好は、定番のバーバリーチェックのミニスカートに白のブラウス、その下には赤色のブラジャーが薄っすらと透けていた。
僕はコーヒーを作り、さおりさんにカップを手渡してさおりさんの横に腰掛けた。
「あのぉ、、、この前コンビニで見ましたよね?」
唐突にさおりさんは話し始めた。
「えっ?」
「あのあと、ずっと思い出そうとしていたんだけど、ようやく思い出したの。あなたがタクシーから降りてきたときの服装とコンビニで見かけた人の服装が同じだということに、、、あなたなんでしょ?」
僕はさおりさんの質問に対する返答に困った。
素直に認めるのか否か、、、。
僕がしばらく黙っていると、重たい空気に耐えかねてさおりさんは口を開いた。
「あんなことしたの初めてなの、、、実は先週の金曜日に旦那と愛し合ったあと、彼のスマホに知らない女性からのメールが来たの。そのことを問い詰めると、うちの旦那が女の人と浮気してるのがわかって、、、その日の夜に彼はお財布や通帳を持って家を飛び出して、それから一度もうちに帰って来なくて、、、しかも、今週の月曜日が彼のお給料日だというのに、お金を引き出す通帳やカードすらなくて、、、それで家賃が払えないことを管理人さんに電話で相談したら、あの日に管理人さんと会うことになって、、、」
僕は自分のした行動を恥じた。
さおりさんに対して申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
さおりさんは僕の手の上に自分の手を重ねてきた。
僕の目をじっと見つめ顔を近づけてきた。
僕はさおりさんの行動を振り切りソファから降りて床に正座し彼女に対して土下座をした。
「ごめんなさい。僕は、、、滝川さんの旦那さんとの夜の営みで発せられる滝川さんの喘ぎ声を毎晩聞いて、とても可愛らしい滝川さんと関係が持てたらと思い、あの日あなたの後ろを追いかけてしまいました。」
「やだぁ、あの声が聞こえていたのね、、、恥ずかしい。それに可愛いだなんて。」
さおりさんは顔を真っ赤にしながらも嬉しそうな表情を浮かべた。
僕はパソコンデスクに向かい、抽斗の中にしまっていた写真を取り出し、彼女にそれを見せた。
「ぁあ、、そんなぁ、、どうして、、なんで?」
さおりさんは軽くパニックを起こした。
「ごめんなさい。本当にごめんなさい。でも、僕は滝川さんのことを一目見た時から好きになってしまい自分でも自分を抑えられなくなって、、、」
僕は親父のことについてはまだ触れないでいようと思った。
「、、、」
さおりさんは黙ったまま俯いていた。
「嫌ですよね。こんなストーカーみたいな男。それに盗撮までするような男なんて、、、」
僕は一か八かの勝負に出た。
さおりさんの手を引きパソコンの画面の前に立たせた。
「なに、これ、、きゃぁあ、、、」
さおりさんの叫び声が部屋に響き渡った。
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