その後、しばらく翠の欲求不満な生活が続いた。
風呂場や家族が寝静まった後で自分を慰める。そんな事を何日か繰り返したある日。
翠は意を決してスマートフォンを握り締めた。
画面を見つめてしばらく時間が止まる。
今までの人生では経験のないような葛藤・・・
今の幸せを守りたい気持ちと新しい世界を知りたい欲望。
今メールを送ってしまえば後戻り出来ない事は分かっている。
母であり妻である今の自分とこのまま女を終えたくない、いや女としての喜びを知ってしまった自分。
翠の心の隙間にほんの少し卑怯な考えが浮かんだ。
『バレなければ・・・』
翠はバッグの中から田辺のアドレスの書いてあるメモを取り出した。
震える指で一文字ずつ入力する。
アドレスを入力し終えると本文の入力をする。
『こんにちは。先日はお食事をご馳走して頂きありがとうございました。お礼と言ってはなんですが今度は私にご馳走させて下さい』
食事だけでは済まない、済ましたくない気持ちを隠し翠はメールを送信した。
程なくして田辺からのメールの返信があった。
『こんにちは。その後、お体の方はいかがでしょうか?もしお食事だけならお気遣いなく。なかなか仕事が忙しく時間も作れませんので』
予想外の内容だった。
(分かってるはずなのに)
画面を見つめながら考え込む翠。
『お食事とその後の続きを。お時間が作れる時でかまいませんので』
(自分をから誘ってしまった)
画面を見つめる自分の顔が火照るのが分かる。
『なるほど、要するに私に抱かれたい訳ですね?そういう事は分かりやすくはっきり伝えて下さい。私がセックスする時はコンドームは着用しませんがよろしいですか?中出しが希望ですが外に出すことも出来ます』
翠の体が固まった。
(夫以外の男と生でするなんて・・・でも外に出してもらえば大丈夫かな・・・)
考えながら一文字ずつゆっくりと入力する。
『分かりました。田辺さんの希望通りでお願いします』
ゆるい坂道を転がるようにゆっくりと田辺のペースで関係が進み始めた。
『それでは今日、今から会いましょう。今日以外は時間が作れません。今すぐ家を出て下さい。前に待ち合わせた場所で』
あまりに突然の事に翠は焦った。
(今すぐ?急がなきゃ。お風呂に入る時間もない)
翠は普段着からブラウス、タイトスカートに着替えると急いで家を出た。
待ち合わせの場所に着くとすでに田辺が待っていた。
「連絡もらえて嬉しいですよ。翠さん、その体で欲求不満じゃさぞかし辛いでしょう?あのままじゃ終われないのは分かってましたよ」
ニヤニヤとイヤらしい顔で田辺が責める。
「いえ・・・そうじゃなくて食事のお礼に・・・」
「そうですか、食事のお礼にセックスさせてくれるんですね?こりゃ相当なもんですな?」
いきなりの言葉責めに翠の顔が赤くなる。
「翠さん、そこのトイレで下着を外してきて下さい」
翠は小さく頷くとトイレに消えた。
コートの前をピッチリ閉めた翠に田辺が言った。
「また少し歩きましょう」
そう言うと田辺は体を反転させ歩き出した。
早いペースで歩く田辺に追い付こうと翠の歩幅も大きくなる。するとコートで隠された胸も大きく揺れ存在を強調してしまう。
人気の少ない住宅街まで歩いた。
「翠さんとりあえずコートの前を開けましょう」
コートのボタンを上から順に田辺が外す。
「このブラウスじゃ乳首が透け透けですねぇ、しょうがない奥さんだ」嬉しそうに田辺が言う。
「そうだなぁ、あとスカートを腰まで捲り上げて」
「そんな・・・出来ません」
嫌がる翠に「そうですか、まぁ構いませんが・・・散歩して帰りましょうか?」
翠の欲求を見透かすように田辺が言った。
「なぁに、見せて歩けって言ってる訳じゃないんですよ。人が来たらコートで隠せばいい」
その言葉に翠の心の決心がついた。
スカートを捲り上げ下半身丸出しになる。
「スケベな奥さんだ。ついでにブラウスのボタンも全部外せばいい」
黙って翠はブラウスのボタンを外す。
乳首は隠れているものの谷間が丸見えになってしまった。
「ほう、最高じゃないですか。よし、前を開いたまま歩きましょう。人が来たら隠して下さい。人がいない時は隠さないで下さいよ。約束だから」
そう言うと田辺は翠の手を引いて歩き始めた。
「そんな体、使わなきゃもったいないじゃないですか?自分でも分かってるでしょう?」
「そんなこと考えた事もありません・・・」
俯いて答える翠。
「そうですか・・・でもその体、今日は私に味あわせてくれるんですよねぇ?」
「そういう訳じゃ・・・」
田辺の言葉責めに翠は下を向きっぱなしになっている。
田辺は物陰に翠を引き込むとブラウスの前を開き胸を露にした。
「乳首が硬くなってますね?感じてるじゃないですか?寒さだって言い訳しますか?こっちはどうかな?」翠の股間に指を滑り込ませる。
「こっちはもっとひどい。これじゃお漏らしじゃないですか。どれだけ溜まってるんです?」
屋外で性器を露出するなど今までの人生であり得なかった行為に翠の体は激しく反応していた。
「もうこんなになってますよ。自分でも分かりますよね?こんなに濡らして。感じてるんでしょう?」
翠の性器から抜いた指には淫液がベットリとまとわりついている。
「もう・・・恥ずかしすぎて」かろうじて言葉を発する翠。
「この先に私が借りてるアパートがあるんですよ。あそこです。見えるでしょう?」
田辺の指さす先にはボロい二階建てのアパートがあった。
「そこまではコート、開きっぱなしで行きましょう。さぁ」
田辺は翠の手を引くとアパートに向かって歩き始めた。
「あとちょっとです。その綺麗な体、誰かに見させたいですねぇ」今までに無いほどイヤらしい顔で笑う田辺。
幸運な事に人とすれ違うことなくアパートに着いた。
ギシギシなる階段を上り2階の奥の部屋の鍵を田辺は開けた。
薄暗い部屋には布団が敷きっぱなしになっている。
その部屋の他にはキッチンとトイレ、風呂場だけの小さなアパートだ。
玄関に入ると田辺は鍵を掛けた。
コートを脱がせ、ブラウスを剥ぎ取るとウェストからスカートを抜いた。
玄関で裸にされた翠。
「こんな所で・・・イヤ・・・」
恥ずかしそうに呟く。
「イヤもなにも、これがしたかったんでしょう?」
田辺はそう言い終わるやいなや翠の胸に吸い付いた。
硬くなった乳首を軽く咬み、吸い上げ舌で転がす。
「んんんっ・・・ダメ・・・」
「ここは玄関だから声出すと外に聞こえちゃいますよ」
田辺は翠の艶っぽい唇にキスをすると首筋へ・・・そして胸へと舌を這わせた。
必死に声が出るのを我慢する翠。
田辺は右手をそっと翠の膣口に運んだ。
溢れる淫液を指に絡ませ膣口とクリトリスを刺激する。
「フン・・・ンンンッ・・・」
翠の呼吸が荒くなる。
田辺は膣口の淵をゆっくり撫でるとヌルっと指を侵入させた。
「アアァッ・・・」慌てて自分の指を噛む翠。
イヤらしく歪んだ翠の息が荒くなる。
ゆっくりと指を沈ませる田辺。
早くも翠の腰が小刻みに震え始めた。
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