僕はこの場から逃げ出したくなった。
だが、それは同時に麗華先生を見捨てるということになる。
僕の頭の中で色々と思考が駆け巡った。
「お前、これを何だと思ってるんだ?」
進藤の一言で僕の身体は硬直し、逃げる術すら失ってしまった。
「そ、、、そ、、、それは、、、」
「男ならはっきりと思ったこと言えよ。」
「か、、か、、覚せい剤ですか?」
僕は決死の覚悟でこの言葉を告げた。
「なぜお前はそう思ったんだ?」
僕はただ目の前にある白い粉、注射器、、、それから判断したに過ぎなかったのだが、僕の潜在意識では金融関係イコール、、、と思ったのも事実だった。
「お前は物事を偏見で見てるんじゃないか?」
進藤の言葉は僕の心をえぐった。
核心部を突かれて僕は返答に窮した。
「職業に貴賎なしって教わらなかったか?」
まさかこのような状況でそんな言葉を聞かされるとは思いもしなかった。
だが、それはまさに正しいことだった。
「お前の見立ては間違ってるぞ。ほれ、お前も試してみるか?」
僕は全身に鳥肌が立った。
進藤が一歩ずつ僕の元に歩んできたが僕は身動きすら取れない状態で、ただただその場に立ち尽くした。
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