「あ、、あなた、、、」
ストレッチャーに運ばれていく人の顔がチラッと見えた時に麗華先生は大きな声で叫んだ。
彼女は助手席の扉を開けて、急いで救急隊員が運ぶストレッチャーの元に駆け寄った。
僕はそれを車内で呆然と眺めていた。
まさか、事故に遭ったのが麗華先生にDVを行なっていた旦那さんとは思いもよらなかった。
麗華先生はストレッチャーの上で横たわる旦那さんの両肩を持ち、彼の身体を揺すりながら泪を流して叫んでいた。
僕はその姿を見て心の中にポッカリと大きな穴が空いたような感覚になった。
僕はアクセルを踏み、Uターンをして反対車線に入ると一気に加速しその場から逃げた。
バックミラーには麗華先生の姿が見えたが、それはあっという間に小さくなり、瞬く間に視界から消えていったのであった。
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