上杉はその夜、里奈に正常位で射精した。
里奈に射精する瞬間の上杉の腰は密着するために、臀部の筋肉が窪むほど
しっかり力を入れていた。射精したあとも里奈と離れようとはせず、
何かを里奈と話していた。音量を最大にして健二は会話を聞き取ろうと
した。
「私と健二君のセックスとどっちがいいかい?」
「健二さんはあたしの大切な旦那様よ。あたしはだから
健二さんを一生懸命喜ばせたいの。上杉さんは素敵なおじさま。
だから上杉さんが一番あたしを気持ちよくしてくれるのだわ。」
「そうか、嬉しいよ。」
挿入したまま上杉と里奈は長いキスをしていた。
里奈の妊娠を知ってしばらく経ったある日、健二が社員食堂で昼食のランチを
食べていると、森山という同期入社の男がカツカレーの載ったプレートを持って、
健二の向かいに座ってきた。森山の話では彼の妻と里奈が偶然同じ産婦人科の
クリニックに通っているらしい。
「奥さんオメデタなんだってな。いやあ、羨ましいよ。」
「君の奥さんは違うのかい?」
「うちは不妊治療のほうだよ。かみさん俺と同じ31歳だろ。結婚4年目
なのに子供ができないんで、焦り始めてるんだ。夫婦どっちにも健康上の
問題は無いっていうのに、うまくいかないよ。お前の奥さんはまだ25だろう、
いいなあ。」
「子どもは天からの授かり物て言うしな。」
「そうだが、最近は体外受精だの精子バンクだの色々選択肢があるだろ。
どれも金もかかるし困ってるよ。」
「そうだな、困るなあ……………」
里奈のお腹の子どもの父親が自分の子だと確信が持てれば、
もっと嬉しいに違いない。それを里奈に聞く勇気は今の健二にはなかった。
なぜなら、美しく若い妻と仕事の両方を無くすから。そもそも
妻の不倫は健二を助けるためにしたことだから。不倫相手の上杉は
里奈との約束をきちんと履行しているのだから。
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