ある種の満足度を胸に家の玄関を開けた。両親は既に夕食を済ませて居間でテレビを観ていた。『涼介、ご飯の準備してあるからね。』母は僕の顔を見るとそう言った。両親とも放任主義ではない。ただ、僕の行動を制限しないだけだ。外で素振りをしていたと分かっているから余計な事は言わないだけである。『風呂に入ってくる。』そう言って部屋に着替えを取りに行くと、その足で浴室へと向かった。シャツは汗が接着剤換わりとなって肌に付着している。シャワーでベトベト感の残る身体を洗い流していた。毎日事務的にこなしているスケジュールである。此処が、球児と受験生を分ける境界線であった。風呂の後は部屋に籠り受験生としての勉学に勤しむ…このようなスケジュールを中学生の頃からこなしていた。浴槽に入ると両手で湯を汲み上げて顔を洗う。足を伸ばせば一日の疲れが身体中を覆ってくる。(やっぱり、おばさん…綺麗だよな) 自分の気持ちを確かめるように心の中で呟く。特に同級生の女子とかには興味が湧くことは無かった。彼女を意識し始めてから心の奥で騒ぐ物を感じていた。今日の出来事を復習するかのように彼女の姿を思い浮かべていた。シャツを押し上げるような胸の膨らみ…スカートの上からでも想像出来る様な尻…そして、綺麗な…優しい顔…自分を励ましてくれる言葉…(本当におばさんて、向日葵だよな。) そんな妄想にも似た事を考えていると自分の身体にも変化が起きる。無形の欲望と云う魔物が有形となって姿を表すのだ。自分の下半身が起き上がるのが分かった。僕はトイレでは何時も個室に入っていた。小学生の頃に立ちションをしている時にからかわれた後遺症である。『涼介って、怪獣みたいなものしているな!』自分では比べた事も無かったが同級生からすると格別だったらしい。両手で握ってもまだ余る。
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