昼の休憩時間、職員室に向かった。藤田は机のパソコンに向かってキーボードを打っていた。『失礼します…』僕は担任である藤田に声を掛けた。『おう、来たか…場所帰るか…』そう言うと手招きするように職員室を出て進路指導室での話しとなっていた。『まっ、座れ…』僕が座る椅子を出すとその対面に藤田が座る。この担任は面白い教師でもあった。別に愉快に笑わす訳でもない、面白い事を言うわけでもない…。では何故か?クラス対抗のバスケの試合があれば夜でもクラス全員を体育館に呼び出した、バレーの試合があればまた呼び出す。そして自分も混じっての練習となる。クラスで虐めがあると聞くと、クラス全員を教室に残した。そしてその問題提起と解決策を全員で話し合わせた。『最近どうした?試験の度に悪くなっていくようだが…困りごとか?』場の沈黙を破るように藤田が話し始めた。『いえ、大した事では…』一言話しては互いに黙る。『そうか…なら良いんだが…部活もあるしな、忙しいとは思うが。自分で決めたことだからな…』『はい…』重苦しいやり取りが続いた。藤田は一冊の資料を見ていた。『第一志望は、S大か…国立だな…後は…K大とW大?涼介…現状では難しいだろう…』資料を閉じると僕に向かって視線を投げ掛けた。確かに今のままでは全敗である。『本当に何も無いのか?相談があったらのるぞ?家では何してる?ゲームか?』波状攻撃のような質問が投げつけられた。『いえ、特には…向日葵の観察して…ノート付けてるだけです。』藤田は声を失ったように呆然と僕を見つめていた。『向日葵の観察?小学生か、お前は…』
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