様々な衝突を繰り返し、その都度許し合って来た二人の関係は、最早どの様な障害に阻まれても揺るぎはしない。
ゆう子は後継ぎの父親を彼と認め、彼はその望みに真摯に応えて行く。
只、それだけの事実が存在するだけである。
二人の愛は一般的なそれとは少し違った形かもしれないが、心と心は通い合い、互いを理解しようと常に務めて行く。
規則で縛られて仕舞う事も有り得る夫婦関係とは違った、単純な同棲とも異なる事実婚の様な関係なのかもしれない。
そんな二人は今、全てのわだかまりを洗い流すかの様に互いを洗いっこしている。
ゆう子「もうっ!!イヤ!! ヤメテ~!!」
「くすぐったいよ~!」
「あっ、そこっ! ダメッ!!」
「きゃあぁぁぁ~~!! タスケテェ~!!」
康治「ほらっ!!」
「逃げてばっかじゃ洗えないじゃないの!!」
二人の楽しい時間は刻々と過ぎて行く。
ゆう子「あらっ?もうこんなに時間が・・」
康治「あれっ?ヤバい!!」
「とっとと着替えないと・・」
二人は慌ててバスルームから出て、着換えを済ませて行く。
ゆう子「ふうぅぅ~、終わった~!」
康治「うん!・・終わったね!」
ゆう子「無事終了しました~!!」
二人は彼女らが帰って来る前に、全ての作業を完了して安堵をする。
ゆう子「あの・・康治さん?・・」
康治「えっ?・・何?」
ゆう子「ワインでも・・飲みません?」
「あの、古いヤツ・・」
康治「えっ?・・もう、勘弁して下さい(笑)」
垣根を取り払った二人は、お酒がクイクイと進み、あっという間に出来上がって仕舞った。
ゆう子「やすはるさ~ん、今何時~?」
康治「ええっと・・2時半・・かな?」
「さてと、テレビでも見る?」
二人はソファーに仲良く並んで座り、なんとか自然百景等という番組を見始めた。
ゆう子「わたし・・しあわせ~・・」
「やすはるさん・・はぁ~?」
康治「私も、一緒・・だよ・・」
二人は強くした暖房で更に眠気を誘われる。
そんな状況の中、麻由美と雅美が外から帰って来た。
麻由美「そ~っと、そ~っと、だよ!!」
雅美「うんっ、分かってる!!」
彼女らは部屋の様子を探りながら、慎重に歩みを進めて行く。
もし、二人があの最中であったなら・・・。
急いで外に逃げなくてはならない。
だが、そんな彼女らの気遣いも杞憂に終わった。
ゆう子と康治は寝息を立てて既に就寝中であった。
麻由美「何よ!!」
「期待して、損したっ!!」
彼女は一体何を期待していたのか?
雅美「ねえ、ねえ、お母さん!」
「見て、見てっ!!」
麻由美「んっ?」
二人の目に入って来た光景は・・。
満足そうに笑みを浮かべて酔いつぶれた二人の姿であった。
雅美「この格好・・ラブラブだね!!」
麻由美「う~ん!・・ラブラブだわ!!」
ゆう子と康治は互いに手を繋ぎ合って身体を寄せて、頭をくっつけてバランスを取り合いながら夢を見ている様である。
麻由美は二人を起こさぬ様に優しく毛布を掛けて云う。
麻由美「お二人さん、おやすみ・・」
雅美「明日の朝が見ものだわ!!」
彼女らは、そう言って自らの部屋に別れて行く。
渦中の二人は飽くまでも楽しい夢の中であった。
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