彼は只ひたすらに彼女の頬を舐める。
まるで彼女の中に在る邪悪な記憶を全て舐め取って仕舞うが如くに。
彼女もその行為に大いなる好意を感じている。
それはまるで薄汚れて仕舞った自らの心が洗われて行く様な感覚でもあった。
だが如何せん、その心地良い行為は長く成り過ぎた。
彼女の方は幾らでも受け容れたかったが、彼の方の状態が心配になって来た。
彼女は断腸の思いで彼に告げる。
ゆう子「康、治さん・・辛くない?」
「私はもう・・」
彼女の言葉を聞いた彼は、更なる無意識で彼女の唇を奪って行く。
ゆう子「ふっ、んんっ?・・」
「・・・・・」
彼女にとって、人生二度目のキスであった。
異性に対して身持ちとプライドの高い彼女は、キスでさえも安易に許して来なかった。
だが彼によって、彼女が持ち続けて仕舞った意味の無いプライドは粉々に打ち砕かれて行く。
彼女は今になって初めて、好ましく思う異性の唾液をその舌で味わう事になった。
彼女の心にとっては、事実上のファーストキスとなった。
ゆう子(やす、はるさん・・やすはる・・さ・・)
永遠に続くかと思われた行為は、彼の判断でいきなり幕を閉じる。
康治「じゃあ、そろそろ・・」
「向こうへ行きますか!」
彼は彼女の唇から離れると一気に彼女を持ち上げて、お姫様抱っこをして行く。
ゆう子「えっ?なに?・・」
「ええ?!・・わぁっ!!きゃあぁぁ~!!」
康治「はははっ!!」
「そんなに驚く程の事では無いでしょう?!」
ゆう子「だって・・こんなの・・恥ずかしぃよ~!」
康治「二人以外に人なんて居ない!!」
「でしょ?!!」
確かに間違いは無いと思った。
だがしかし、彼女は異性にこんな扱いを受けた経験が無い。
彼女の心はひたすらに困惑していた。
康治「偶には良いもんですよ!」
「こんな経験も!」
重ねて、確かにそう思うと彼女は納得した。
しかし、いい歳を重ねた女が受ける行為では無いと彼に伝えると、その彼が反論する。
康治「歳?」
「関係無いです!!」
「貴女は少女の様に純真で、乙女の様な穢れ無さを持ち続けている!」
「そうでしょ?」
彼は真顔で恥ずかしげも無くキザなセリフを言う。
彼女には、それが堪らなく恥ずかしくも有り、嬉しくも有った。
ゆう子「もうっ!!・・ばか!・・」
彼と彼女はお姫様抱っこのまま、再び唇を重ねて行く。
二度目のキスは互いを奪い合う様な激しいモノとなった。
お互いの顔半分を唾液でベチョベチョに濡らしながら、魂の奪い合いをする。
そしてそのままの体勢で彼の寝室へと入って行った。
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