ゆう子「麻由美・・ごめんっ!!」
「今回の話は・・・」
「無かった事にしてっ!!」
「・・・・・」
「じゃあ、また後で・・メールする・・」
彼女はいつもの自信たっぷりな様子と打って変わって、泣きそうな声で麻由美に詫びの電話を入れて来た。
麻由美「ちょっと!!」
「ゆう子、待って!!」
「何があったの?!!」
彼女からの電話は切れた。
麻由美は彼に向かって猛抗議をする。
麻由美「一体全体、どうしたっていうの?!!」
「貴方!!彼女にどんな酷い事をしたっていうの!!」
彼女は見た事も無い様な剣幕で彼を問い詰める。
康治「どんなって・・」
「私は只・・・」
雅美「ゆう子おばさんがどうしたの?」
雅美が無邪気にも話の中に入り込んで来る。
麻由美「貴女には・・関係の無い事よ!」
康治「いや、それはちょっと違うんじゃ・・」
彼が珍しく異論を唱える。
彼にしてみれば、雅美抜きでは考えられない事態ではあった。
麻由美「えっ?で、も・・雅美には・・」
雅美「私、知ってるよ!」
「ゆう子おばさんと彼の事」
「多分、間違い無いと思う」
麻由美「ええ?!!」
「貴方・・また言っちゃったの?!」
康治「また、は酷いなあ~!」
彼は口が軽いと認識されてしまっていた。
雅美「今迄の流れとお母さんの動きを見て居れば・・」
「バレバレでしょ?」
犯人は麻由美であった。
麻由美「えっ?私?・・」
「なに?どうして?」
「何で・・分かっちゃう、の?」
雅美「だって最近、おばさんの話ばっかしてるじゃない?」
「それとお母さん?自分の事まで忘れて店の後継者の話までするし・・」
「康治さんと話し合った日から、全然態度が変わって来てるし・・」
麻由美は彼を見て片目を瞑って詫びを入れる。
雅美「私は別に構わないよ!!」
「ゆう子おばさんの事、大好きだしね!!」
話は一気に解決して仕舞った。
彼は雅美の懐の大きさに感じ入った。
そして益々愛しさを覚えた。
雅美「でも、妊娠に関して云えば・・」
「難しい事には変わりが無いと思うの!」
「お母さんの場合と一緒でね!」
この家で一番大人なのは彼女である事がはっきりと判明した。
だがそれはそうと肝心のゆう子が心配である。
彼女は何が何だか訳が分からず、混乱の極致に居る筈であった。
三人は顔を突き合わせて相談し、一つの結論を得た。
改めて彼女を我が家に招待しようと。
その為には傷付いた彼女を説得しなければならない。
その役目は麻由美しか考えられなかった。
麻由美は必死になって彼女を説得する。
最初は硬く拒んでいた彼女も雅美の言葉で納得をしてくれた。
後は彼女を招待した後、どうやってプロジェクトを進行させて行くか。
それだけは彼の手腕に掛かって居た。
康治「私、精一杯頑張らせて頂きます!!」
雅美「うんっ、その意気や良し!!」
「っと云いたい処だけど・・」
「余り、ゆう子おばさんと仲良くならないでね!!」
彼女の本音がチラッと顔を覗かせた。
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