雅美と康治は飽くまでも一つに繋がった儘でいる。
互いの肌と肌を寄り添わせて体温を交換し、温め合っている。
そんな二人の姿を暫く眺めていた麻由美は身体が冷えて来たのか、ずるずると湯船の中に身を沈めて行く。
麻由美「はあぁぁ~~! ふうぅぅ~~!」
「気持ち良い~!」
お湯の中に身を置いてリラックスして来たのか、彼女は自らの性器に指を差し入れて彼に注いで貰った精液を探り始める。
そして、その指に付着して湯の中で雲を漂わせながら上がって来た薄い精液を目で見定めて行く。
麻由美「彼の、精子・・か!!」
彼女は何かを納得した様に振る舞って、その指に付いた精液を”ちゅるんっ“と舐め取って飲み込んでしまった。
その彼女の顔には明らかな寂しさが漂っていた。
一夜明けて二日目の朝が来た。
三人は部屋こそ一緒ではあったが、布団は三組。
その一つに麻由美が寝て、もう一つに雅美と彼が二人して眠りに就いていた。
その朝、麻由美は最初に目が覚めた。
周囲を見渡すと二人はまだ深い眠りに就いたままである。
彼女は寝床から起き上がると窓際まで行って朝の景色を眺め始めた。
そこへ雅美が布団の中から声を掛ける。
雅美「お母さん・・もう起きてたの?」
「・・・・・?」
「ああ! おはよう!」
雅美は思い出した様に朝の挨拶をする。
麻由美「あら?起こしちゃった?」
「はい!おはよう!」
彼女らはお茶を淹れて、ゆっくりと飲みながら昨夜を振り返る。
雅美「お母さん・・昨日はごめんね・・」
麻由美「ええ?!何よ、改まって・・」
雅美「だって・・お母さんの気持ち迄、考える余裕が無くって・・」
彼女は何となく自分を察してくれている娘の心が嬉しかった。
麻由美「いいのよ・・貴女達の自由で・・」
麻由美も彼女なりに自由に振る舞っていた。
だが、ここに来て二つの事が分かって仕舞った。
一つは、自分には娘が一人居れば充分であるという事。
二つ目は新たな問題が持ち上がって来たという事である。
それは、あの”ゆう子“の事であった。
だが彼女はそんな問題など顔にも出さずに雅美と対応する。
麻由美「彼は干からびてスカスカになっちゃったから・・」
「まだ起きて来そうも無いし・・」
「着替えて朝市でも見に行こうか!!」
雅美「うんっ、いいかも!!」
「じゃあ、早速着替えるとしますか~!!」
二人はいそいそと着替えて朝の街へと繰り出して行った。
そして二人が外から帰って来た頃に彼がのんびりと眠りから目覚めた。
康治「んんっ?・・二人共・・何処かへ?」
彼は目を擦りながら彼女らに聞く。
すると二人一緒に返事が返って来た。
麻由美「まだ寝ていたの?」
「もうおひさまが高く迄来てるのに!!」
雅美「全く!! のんびりしてる!」
「折角、高山まで来てるのに!!」
麻由美「ホント、もったいない!」
雅美「ねえ~!!もったいないよね~!」
彼女らは手にいっぱい土産物を下げていた。
恐らく朝市にでも行って来たのであろうと彼は思った。
麻由美「もう直ぐ朝食よ!」
「早く起きて!」
「顔を洗って、歯を磨いて!」
雅美「朝食を済ませたら直ぐに出発しま~す!!」
「色々見に行きたい処が有るからねっ!!」
彼女らのエネルギーとスタミナ、そしてバイタリティーに彼は脱帽した。
そんな彼女らに彼は只、黙って就いて行くしかなかった。
それでも唯一つの収穫はあったのかもしれない。
互いに三人の絆が強まった様な気がして、彼は不思議と笑みがこぼれて来るのであった。
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