二匹の発情した雌と、その醸し出すフェロモンに強く反応してしまった一頭の雄。
それらが繰なす淫猥な激しい愛の営みは、互いをいやらしい汁まみれにして絡み合わせ、性も根も尽き果てさせていた。
だが、その中で只一匹の雌だけは、未だに目の奥を爛々と光らせて次のチャンスを虎視眈々と狙っている。
そんな彼女のスマホから突然なタイミングで着信音が響き渡る。
彼女はいぶかしげに、その届いたメールをチェックする。
麻由美「一体、こんな夜中に誰から?・・・」
「・・ひょっとして・・」
彼女の予感は当たっていた。
メールの差出人は”ゆう子“からであった。
麻由美「彼女、ったら・・」
麻由美は呆れ果てる。
彼女が本当に自分らの行動をチェックしに来るとは。
麻由美は取り急ぎ彼女からの文面を検める。
すると、その内容は・・・。
ゆう子(麻由美?・・成果は上がってる?)
(後で報告を、よろしくね!)
(貴女の事だもの。抜かりは無いわよね?)
(取り急ぎ、ここ迄で!)
麻由美は思わず苦笑してしまった。
”抜かりが無いのはどっちよ?“と心の中で叫んだ。
ゆう子は彼女にとって盟友の様な存在であった。
バブル世代の落とし子と呼ばれた彼女らは或る意味、共に戦う戦友でもあった。
女子大生ブームの頃、二人は巨大ディスコで”ワンレン・ボディコン“を身に纏い、パンティーが見えそうな程に短いスカートの裾を物ともせず、高いお立ち台の上で踊りまくった。
更に二人はカリスマとして言い寄る男共を手玉に取って来た。
マスコミ関係者や成り上がり不動産屋、果ては薄汚い政治家などを物ともせずに行動した。
そして極めつけは、他の股の緩い女共と違って、決して安易に身体を開く事は許さなかった。
それが二人だけのプライドの証明でもあり、自分らの価値を高める戦略でもあった。
そんな二人も最早アラフィフである。
女の盛りは長い様で短い。
二人は最近、その事を心から実感していたのだ。
麻由美「はあぁぁぁ~~、しょうがないなぁ・・」
「私が一肌脱ぐしか無いのかな?・・」
彼女は雅美を見ながら、申し訳ない想いでいっぱいになった。
補足ではあるが、彼女、ゆう子は女社長でもあった。
麻由美の通うエステサロンの経営者であり、カリスマエステティシャンとしても名を轟かせている。
そして40~50歳台をターゲットとしたファッション雑誌の読モ(読者モデル)も度々務めて来た。
ルックスはW浅野ともてはやされた浅野ゆ〇子の現在形が、より洗練され若返った風貌であり、ゆう子自身のアンチエイジングに対する執念が感じられる。
若い時代のスリーサイズはB81,W55,H87とスリムグラマーなイメージで有ったが、今もその体型は充分に維持されている。
更に話を掘り下げると、彼女は未だにシングルレディーであり、いわゆる”おひとりさま“であった。
過去に結婚歴も無い完璧な独身主義者であり、今後も結婚をする事は無いであろうと周囲からも思われている。
しかし彼女も人の子である。
自身の築き上げて来たモノを引き継いでくれる存在が欲しくなって来た。
その事は、かねてから麻由美に何気なく心情を漏らしていた。
そしてそれは、互いの能力と審美眼を認め合っている二人だけの秘密であった。
ゆう子は彼女の選んだモノなら信用出来る、麻由美はそんな彼女の期待に応えてあげたい。
そう思って止まなかった。
麻由美には、他人には見せられない乙女の様なゆう子の心の内が、痛い程分かっていたのだ。
その全ての話を総合的に判断して鑑みれば、標的となる康治の立場は明確となる。
要するに彼女達にとって、彼は都合の良い種馬同然なのであった。
しかし、雅美にとっては話が違う。
彼を真のパートナーと認め、愛して仕舞った。
麻由美にとって、只それだけが気掛かりである。
このプロジェクトは大掛かりになる。
彼女は、ふと、そんな気がして身が引き締まった。
しかしながら今はそんな事を考えている余裕は無い。
燃え盛る自らの心と性器を鎮めて上げなければならない。
彼女は考え抜いた。
そして一つの結論を導く。
彼女は部屋に用意されている客室露天風呂を見ながら具体的な策を練って行く。
そして、此処でも雅美は重要な役割を担っていた。
性的な魅力しか無い自分と違って、雅美と彼には愛と云う絆が有る。
それらを上手く使えれば・・・。
彼女は気怠い腰を、よいしょと持ち上げて露天風呂の方へと歩んで行く。
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