麻由美「あら?待たせちゃったかな」
雅美「あら~、くつろいでる~」
彼は大浴場の入り口付近に置いてある、マッサージ機で身体をほぐしていた。
二人の気配を感じた彼は、目を開けて応える。
康治「あ~、いえ、今、出て来たところですよ!」
彼は口では、そう言っていたが、その割には随分とリラックスしている様子であった。
宿に到着して最初のお湯を堪能した彼女らは、ラウンジでお茶を注文してくつろぐ。
雅美「はあ~、落ち着く~」
「・・遠くまで来た甲斐が有るねっ!!」
麻由美「ホント!!」
「癒されるわ~」
彼は黙って彼女らを微笑みながら見つめている。
雅美「ねえねえ?お夕食」
「どんなだろうね?ワクワク!!」
麻由美「今夜は飛騨牛よ!!」
「任せておいて!!」
雅美「飛騨牛?」
「きゃあ~!!いや~ん!!」
「最っ高ぅ~!!」
食事だけで盛り上がれる女性は幸せだなと彼は思った。
部屋に戻ると、既に夕食の用意が整っていた。
飛騨牛をメインに土地の名物料理がずらりと並ぶ。
彼女らは嬉々として箸を進めて行った。
雅美「はあぁ~~、やっぱり美味しいなぁ~、このお肉!」
「柔らかくて、ジューシーなの!」
「口の中で蕩けちゃう・・」
麻由美「ホント、そうね!」
「でもこの、きのこ汁、かな?」
「なんだろう?この味?・・」
「作り方、教えて欲しいな!」
康治「どれもこれも絶品ですね~」
雅美「お母さん、グッジョブ!!」
麻由美「でしょ~!!」
「私の目に狂いは無い!!」
三人の楽しくも豪華な夕餉はつつがなく進んで行く。
そして最後に地元フルーツの盛り合わせと特製ケーキのデザートが出て来てコースは終了する。
雅美「ぅうん~~、しあわせ~~」
麻由美「なにこれ!おいし~!!」
二人は絶品スイーツを頬張りながら、うっとりとした表情で満足する。
彼は地酒を口に含みながら、喉から鼻に貫ける風味を楽しむ。
この時点で旅行の成功は約束されたと云っても過言では無いであろう。
部屋から料理が片付けられて、彼女らはお茶をすする。
人間、食欲が満たされれば、後に残るのは性欲である。
早速、浴衣姿の麻由美が二人に提案する。
麻由美「ねえ?皆さん?」
「今夜のテーマを発表してもいいかしら?」
雅美「んっ?、テーマって?」
康治「また、何ですか?」
麻由美「やっぱり目指すべき指標が無いと」
「その、・・色々とやりにくいでしょ?!!」
雅美「目指す、べき?・・」
康治「う~ん、そりゃまあ、ねえ・・」
麻由美「では発表します!!」
「今夜のテーマは・・・」
雅美「テーマは?」
康治「・・・・・」
麻由美「無礼講で~す!!」
「あっ!!」
「・・色欲に限ってねっ!!」
雅美と康治は目が点になった。
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