雅美「へえ~!お洒落な町並みね~!」
麻由美「そうねぇ!」
「古い家屋が、いっぱい残ってるわ!」
康治「良い処ですねぇ~」
3人は車を駐車場に入れて、市内の中心地を散策している。
雅美「ねえ?」
「朝市って何処でやってるの?」
麻由美「さあ?」
「宿で聞いてみましょ!」
彼は彼女らの楽しそうな雰囲気を見ているだけで満足出来た。
彼女らは車に戻って、宿へと向かう。
宿泊の予約を入れた宿は、高山駅から徒歩数分の場所にあった。
雅美「へえ~!素敵なホテルね!」
麻由美「でしょ!!」
「私のセレクトに間違いは無いわ!」
彼女らは、フロントで名を告げて仲居の案内で部屋に入る。
麻由美がリザーブした部屋は、特別和洋室と云って室内に露天風呂を備えていた。
雅美「いや~ん!!最高!!」
「お母さん、センスいいね!」
麻由美「あたりまえよ!!」
「ちょっと値段が高かったけれどね」
康治「偶にはいいんじゃないですか?」
「こんな贅沢も!」
麻由美「うふっ!ありがと!!」
3人は早速、男女別々の大浴場へ行って羽を伸ばす。
麻由美「う~んっ!!」
「気~持ち、イイっ!!」
雅美「ホントね~!」
「ここの温泉、サイッコォ~!!」
二人は柔らかいお湯に入って、いつもより更に饒舌になってお喋りをする。
すると麻由美が突然、少し真顔になって雅美に告げる。
麻由美「ねえ?雅美?」
雅美「うん?」
「なあに?」
麻由美「貴女、私に遠慮はナシにしてね!」
「しつこく云う様だけれど・・・」
雅美「分かってる・・」
「もう直ぐ、彼とも役所に届けを出すし・・」
「晴れて、子作りに臨めるからね」
麻由美「貴女達、よく我慢したね」
「偉いよ!!」
雅美「そんな・・」
「コンドーム着けて・・偶に・・してた、から・・」
麻由美「ははっ(笑)・・それは、そうよね!」
「ごめん!立ち入った事、聞いて」
雅美は彼女の寂しそうな横顔が気になった。
雅美「それよか、お母さん・・」
「お母さんだって・・」
麻由美「私?・・私はいいのよ・・」
「本気で子作りしようなんて・・」
「思って無いから・・」
女性の妊娠は、高齢になればなるほど難しくなる。
生理が有ってタイミングよく受精をしても、着床して妊娠に至る事は稀になって来る。
彼女には、その辺の事情が良く分かっていた。
雅美「でも・・でもね!」
「受精卵を代理出産して貰うって手も・・」
麻由美は彼女の言葉を手で遮って言う。
麻由美「そこまで・・そこまで人に迷惑は・・」
「掛けられないでしょ?」
麻由美の真実の言葉に彼女は何も言えなかった。
麻由美「でも・・私はまだ女・・」
「忘れていた事を思い出させてくれたの・・」
「彼がねっ!!」
雅美は、彼女の言葉を受け容れつつも、心の中で思う処が有った。
後は状況次第だと思っていた。
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