雅美の離婚が決まって以来、康治は彼女にとって内縁の夫状態になった。
再婚禁止期間100日が過ぎるまでは大人しくしていなければならない。
しかし彼には麻由美と云う、恋人然とした人物も存在する。
この複雑な状況に、彼は戸惑った。
条件的にはもう、雅美とも子作りに励む事は出来る。
だが同じ屋根の下で、一人は内縁の妻、もう一人は恋人である。
しかもその二人は実の親子と来ている。
要するに彼は、見えない柵に囲まれた場所に飼われている種馬の様なモノである。
しかしながら贅沢は言えない。
その相手とする二人の女性は共に目を見張る様な美貌を誇り、性格も温和で甲斐甲斐しく男性を立てる理想の女性像である。
ではあるが、何故か彼にはしっくりと来ない面がある。
それは、彼女達との夜の営みが、彼女達の立てたスケジュール通りに進んで行く事であった。
確かに彼女達との子作りSEXは最高に興奮して満足はするが、何か一つ足りない感覚が常に付きまとう。
だが彼には最近になってようやく、それが何であるのかが見えて来た。
彼は三人で夕食の食卓を囲む席で、高らかに宣言をした。
筈ではあったが・・・。
麻由美「それがねっ、上手く行かなかったのよ~!」
雅美「ええ?!なになに?」
「教えて教えて!!」
二人は何やら、昼間の出来事で盛り上がっている様である。
麻由美「最初から、そうだと教えてくれてたらねぇ~?」
雅美「うんうん!!」
「それはそうねっ!」
康治「あの~・・・」
「ちょっといいですか?」
彼は彼女らの話に無理矢理割り込む。
麻由美・雅美「えっ?何?」
二人の視線が一斉に彼へと降り注ぐ。
彼女らは、何事かと云った雰囲気である。
康治「・・・・・」
麻由美・雅美「何?何なの?・・・」
康治「あ、・・やっぱ、結構です」
麻由美・雅美「なに~、気になる~」
康治「あの、別に、大した事じゃ・・」
麻由美「そうなの?」
二人はまた、おしゃべりを初めてしまった。
彼は勇気を出して、再度トライする。
康治「じっ、実は皆さんに伝えたい事がありまして・・」
「私は・・私の意見ですが・・」
彼女らは、じっと彼を見つめている。
彼はひるむ事なく進んで行く。
康治「あの・・夜、の・・事なんですが・・」
麻由美「な~に?」
雅美「何ですか?」
康治「今度ですね・・三人一緒に・・」
麻由美「三人一緒に?」
康治「エッチしたいな~なんて・・・」
彼は、そこまで云って彼女らの反応を見る。
すると彼女らは平然と表情を変えずに返して来た。
麻由美「そう、いいんじゃない?」
「ねえ?・・雅美は?」
雅美「うん!いいと思う!」
「別にもう、敢えて子作りにこだわる事も無いんだし・・」
麻由美「そうよね~!」
「私達、立派な大人だもんね~!」
雅美「ね~!!」
康治「・・・・・」
彼は拍子抜けをした。
何の抵抗も無く、事は決まって仕舞った。
彼は自らイニシアチブを持って彼女らを種付けしたいと気付いたのに。
彼女らにとって子作りとは何なのか、とさえ思った。
康治「あ、じゃあ、早速今夜からでも・・・」
麻由美「あっ、ごめ~ん!」
「言ってなかった?」
「これから二人で映画を見に行くの!」
「貴方も行く?」
康治「あ、いや、私は明日仕事があるから」
麻由美「そう、ざんね~ん!」
「じゃ、また、今度ねっ!!」
雅美「う~ん!夜のスクリーンって・・・」
「ロマンティック~!!」
二人は食事を終えると、いそいそと出掛けて行った。
残された彼は、一人で寂しくテレビを見ていた。
康治「はあ~~・・・」
「俺、何悩んでたんだろ・・・」
彼は一人で反省会を催した。
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